初穂料・受付時間・行事の日程・郵送祈祷の有無や方法などは、今後変更される場合があります。
実際に参拝・申し込みをする前に、必ず各神社・お寺の公式サイトや電話で最新情報を確認してください。
また、本文中で紹介する「ご利益」や「霊験」は、いずれも古くからの信仰・伝承にもとづくものです。医学的・科学的な効果を保証するものではなく、病気やけがの治療に代わるものでもありません。体調不良や心身の不調がある場合は、まず医療機関や専門家への相談を優先し、そのうえで祈りや風習を心の支え・文化として取り入れていくイメージで読んでください。
福島ならではの厄年風習(「歳なおし」や洗剤を配る習慣など)については、福島県立博物館の民俗資料や地元新聞・テレビ局の取材記事など、公的・準公的な情報源をもとに整理しています。
① 福島で厄払いをする前に知っておきたい基本

「今年は厄年だと聞いて、不安になっている」「なんとなくツイていない気がして、厄払いに行くべきか迷っている」。そんな気持ちのまま一年をスタートさせてしまうと、ちょっとした出来事まで悪い方向に考えてしまいがちです。
福島には、日本三不動のひとつと伝えられる中野不動尊、安倍晴明ゆかりとされる福島稲荷神社、会津総鎮守として親しまれる伊佐須美神社、「みちのくのお伊勢さま」と呼ばれる開成山大神宮など、厄払いで頼りにされてきた社寺が数多くあります。それぞれ歴史も御祭神も、伝えられているご利益の内容も少しずつ違い、自分の性格や好みに合わせて選べるのが福島の魅力です。
この記事では、福島で厄払いができる代表的なスポットの特徴や初穂料の目安に加え、厄年や数え年の基礎知識、服装や当日の流れ、よくある疑問への答え、温泉や年中行事と組み合わせて運気を整えるヒントまで、やさしい言葉でまとめました。「どこへ行けばいいのか」「何を準備すればいいのか」が分かれば、厄年はもう怖いものではありません。福島で、自分にしっくりくる厄払いのかたちを見つけていきましょう。
1-1 厄年ってそもそも何?数え年と年齢の早見ポイント
厄年とは、「人生の節目で体や環境の変化が大きくなりやすいから、いつもより慎重に過ごそう」と昔から言い伝えられてきた年のことです。
「厄年だから必ず不幸が起きる」という医学的・統計的な証拠があるわけではありませんが、日本では長いあいだ「気を引きしめる目安」として大事にされてきました。気持ちの上で区切りをつけるための年、と考えると分かりやすいかもしれません。
一般的な本厄の年齢は、次のように考えられています(いずれも「数え年」)。
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男性:25歳・42歳・61歳
-
女性:19歳・33歳・37歳・61歳
特に男性42歳、女性33歳は「大厄」と呼ばれ、仕事や家庭で負担が増える時期と重なりやすいとされてきました。責任ある立場を任されたり、家族の面倒を見ることが増えたりして、心や体に疲れがたまりやすくなる年代でもあります。その前後1年を前厄・後厄と呼び、合わせて3年間を慎重に過ごすようにうながす考え方も広く見られます。
ここでポイントになるのが数え年です。
本来の数え年の定義は、
生まれた年を数え1歳とし、そのあと毎年1月1日を迎えるごとに一歳ずつ年を重ねていく
という考え方です。つまり、
-
生まれた瞬間:数え1歳
-
次の元日:数え2歳
-
その次の元日:数え3歳
というイメージです。
ただ、実際に自分の数え年を毎回そこから計算するのは少し面倒なので、日常的には次のような「ざっくり計算」がよく使われています。
-
その年の誕生日がまだ来ていなければ
→ 数え年 = 今の満年齢 + 2 -
その年の誕生日がすでに過ぎていれば
→ 数え年 = 今の満年齢 + 1
これは**「厳密な定義」ではなく、「今の年齢から簡単に数え年を知るための便利な計算方法」**です。厳密な定義から計算した結果と同じになりますが、「なぜそうなるか」を丁寧に説明すると少しややこしくなってしまうので、普段はこの「+2/+1」の覚え方で十分です。
代表的な厄年を表にすると、次のようになります。
| 区分 | 本厄(数え年の一例) | よく言われるポイント |
|---|---|---|
| 男性 | 25歳・42歳・61歳 | 42歳が男性の大厄とされる |
| 女性 | 19歳・33歳・37歳・61歳 | 33歳が女性の大厄とされる |
ここで挙げた年齢は、「全国的によく用いられている代表的な例」です。
実際には、4歳・13歳・70歳・80歳などを厄年に含める神社があったり、前後の年齢が微妙に違っていたりすることもあります。神社ごとに細かい違いがあるため、「この表だけが絶対に正しい全国共通の基準」という意味ではありません。
特に福島県内を見ても、
-
ある神社では数え61歳を重く見る
-
県北地方の一部では数え62歳を「歳直し」として特にお祓いをすすめる
といったように、同じ地域の中でも年齢の区切りが少し違う例があります。
この記事では、全国で広く使われている「標準的なモデルケース」を紹介していますが、最終的に自分が厄年に当たるかどうかは、参拝する神社・お寺の厄年表を必ず確認し、その案内を基準にするようにしてください。同じ年齢でも、寺社によっては「前厄扱い」「本厄扱い」が少し違う場合があります。
1-2 男性・女性で違う?福島の厄年の考え方と地域差
男の人と女の人で厄年の年齢が違うのは、「体や生活スタイルの変化が起こりやすいタイミングが違う」とされてきたからだと説明されます。男性は、25歳前後で社会人としての責任が重くなり始め、42歳で役職や家庭の重みが増え、61歳で定年や健康の変化が気になる人が増える時期です。女性は19歳で進学や就職、33歳で結婚・出産・子育て・仕事の両立など、37歳で子どもの進学や自分のキャリアの見直しなど、人生の大きな分岐点が重なりやすいと考えられてきました。
福島県の神社やお寺でも、基本的には全国でよく使われる厄年表に沿って案内しているところが多く、男性25・42・61歳、女性19・33・37・61歳を節目としているところが一般的です。ただ、**すべての神社がまったく同じというわけではありません。**ある神社では「数え年」を基準に、別の神社では「満年齢」を併記して分かりやすくしていることもありますし、「前厄・本厄・後厄」の扱い方にも細かな違いがあります。
さらに、福島県北部の一部の地域には、「数え62歳で歳直し(としなおし)のお祓いを受ける」という風習も残っています。これは、数え61歳の還暦で一度赤ちゃんに戻ると考え、翌年の62歳であらためて人生を立て直す、という意味合いを持つ行事です。厄を祓うというより、長寿を祝い、新しい気持ちで第二の人生に踏み出すための節目として受け止められています。こうした「歳直し」や「歳重ね」といった呼び方や行事は、福島県立博物館の民俗資料や地元新聞・テレビ局の特集でも紹介されている、福島らしい習慣のひとつです。
福島県北部では、歳重ね・歳なおしの年に、台所用洗剤やタオル、お菓子などの実用品を近所や親戚に配る風習がある地域もあります。配る数を「自分の年齢の数」や「お世話になった家の数」に合わせるなど、細かいルールは地域ごとにさまざまです。ただし、これはあくまで一部地域に残るローカルな習慣であり、福島県全域で一律に行われているわけではありません。最近では「家計に負担がかかる」「親しい人にだけ渡す形に変えた」といった声も多く、やるかどうかは各家庭の考え方次第です。
「うちの地域ではどうなのかな?」と気になったら、地元の氏神さまの社務所で厄年表を見せてもらったり、「この地域では何歳が厄年とされていますか?」と聞いてみると、より安心して参拝できます。厄年の年齢は「全国共通の絶対ルール」ではなく、「その土地や神社が大切にしてきた目安」と理解しておくと、必要以上に不安にならずに済みます。
1-3 厄払い・厄除け・お祓いの違いを整理してみる
似たような言葉でよく混ざってしまうのが、「厄払い」「厄除け」「お祓い」です。どれも「災いを遠ざけ、穏やかに暮らしたい」という願いからお願いするもので、はっきりと線を引きづらいのですが、あえて整理すると次のようなイメージになります。
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厄払い
厄年などで「すでにまとわりついているかもしれない良くない気や流れ」を祓い落としてもらう祈願です。前厄・本厄・後厄の3年間に受ける人が多く、「ここで一度リセットして、これからの一年を穏やかに過ごしたい」という気持ちがこめられています。 -
厄除け
これから先に起こるかもしれない事故や病気、トラブルなどが自分のところに寄ってこないよう、あらかじめ守ってもらう祈願です。厄年だけでなく、交通安全や家内安全、商売繁盛、合格祈願などと一緒にお願いされることも多く、広い意味での「災いよけ」として行われています。 -
お祓い
もっと広い意味で使われる言葉で、厄年に限らず、日常生活の中でたまってしまう穢れや、気持ちのモヤモヤを清めてもらう行為全般を指します。新築の家を建てるときの地鎮祭、会社やお店を開くときの開業清祓い、車を購入したときの車のお祓いなども、この「お祓い」に含まれます。
実際の現場では、神社やお寺の側でも「厄除け祈願」「厄払いのお祓い」といったように重ねて表現することも多く、厳密に区別して使っているわけではありません。参拝する側としては、「今の自分は何をお願いしたいのか」を整理しておくと分かりやすくなります。
なお、厄年と体調不良に科学的な因果関係が証明されているわけではありません。
一方で、男性42歳・女性33歳前後は、仕事や家族の状況が変化しやすく、生活の負担が大きくなりやすい年代でもあります。そのため、「ちょうど体や生活が変わりやすい時期と、昔からの厄年の年齢が重なっている」と説明する人もいます。こうした背景から、厄払いは「迷信だからやめよう」というよりも、「ちょうどいいタイミングとして生活を見直してみよう」という前向きなきっかけとして受け止めると、気持ちが少し楽になります。
この記事全体に共通することとして、病気やけがの不安があるときは、まず医療機関の受診が最優先です。そのうえで、「心の区切りをつけたい」「家族で気持ちをひとつにしたい」というときに、厄払い・厄除け・お祓いを利用すると、現実的で安全なバランスになっていきます。
1-4 神社とお寺、福島ではどちらに行く人が多い?
厄年の祈願は、神社とお寺のどちらでも行われています。福島県内を見ても、福島市の中野不動尊はお寺として不動明王への厄除け祈願で知られており、同じ福島市の福島稲荷神社は神社として商売繁盛や厄除けの祈祷が行われています。郡山市の開成山大神宮は「みちのくのお伊勢さま」として多くの人が参拝に訪れ、会津美里町の伊佐須美神社は会津一帯の総鎮守として厄除けや方除けの祈願が行われています。
どちらに行く人が多いかは地域や家ごとの習慣によっても変わり、「うちは代々この神社」「うちはお不動さま」というように、自然に行き先が決まっている家庭もあります。神社では日本古来の神さまに対して祈りを捧げ、お寺では仏さまや不動明王、観音さまなどに救いや守りをお願いするというイメージがありますが、どちらが良くてどちらが悪い、ということではありません。
福島の場合は温泉地や観光地が多いため、「厄払いのあとに温泉でゆっくりしたい」「会津観光も楽しみたい」といった希望で選ぶのもおすすめです。中野不動尊なら飯坂温泉、伊佐須美神社なら会津若松や東山温泉、開成山大神宮なら磐梯熱海温泉など、厄払いと温泉をセットにできる場所がいくつもあります。そう考えると、どこへ行くか迷う時間も、旅の計画を立てるようなワクワクした時間に変わっていきます。
1-5 厄払いに行くタイミングは?いつまでに行けばいい?
厄払いのタイミングでよく言われるのが、「正月のうちに」「節分までに行くとよい」という話です。たしかに、お正月から節分にかけては、多くの神社やお寺で厄除けのご祈祷が集中し、もっともにぎわう時期です。一年の始まりに合わせて厄を祓い、気持ち新たにスタートしたい人が多いからでしょう。元旦から三が日にかけては、厄払い専用の受付を設けている神社・お寺もあり、「初詣と一緒に済ませてしまう」という人も少なくありません。
とはいえ、実際には、多くの神社・お寺で厄払いの申し込みは一年中受け付けられています。中野不動尊、福島稲荷神社、伊佐須美神社、開成山大神宮なども、基本的には通年で厄除け・厄払いの祈祷を行っているところに含まれます(特定の期間に限定している社寺もあるので、必ず最新情報を確認してください)。仕事が忙しかったり、家族の予定が合わなかったりして、お正月のうちに行けなかったとしても、落ち着いたタイミングで申し込めば問題ないのです。
おすすめのタイミングをあえて挙げるとすれば、まずはやはり「年始から節分まで」。一年の計は元旦にあり、という言葉もある通り、新年の流れをつくる時期なので、ここで厄払いを受けると気持ちの区切りがつきやすくなります。次に多いのが「誕生日の前後」です。自分だけの区切りとして、新しい年齢になる節目に厄払いを受け、「今年の自分はこうしたい」とあらためて心に決める人もいます。また、転職や引っ越し、結婚など、大きな変化がある前後に「安全にうまく進みますように」と祈願するケースもよく見られます。
福島では、数え62歳での歳直しのお祓いなど、地域ならではの節目もあります。大切なのは、「厄年だから必ず悪いことが起きる」と不安になりすぎないことです。厄払いは、今の自分を見つめ直し、これからの一年をていねいに生きるためのきっかけとして利用するもの。思い立ったときが、その人にとってのベストタイミングだと考えてよいでしょう。
② 福島で厄払いができる代表的なスポット紹介
2-1 中野不動尊(福島市)日本三不動のひとつと伝わる祈願寺
福島市飯坂町にある中野不動尊は、正式には「中野山 大正寺」といい、曹洞宗に属するお寺です。境内の不動明王信仰がとても厚く、東北地方では「日本三不動のひとつ」と伝えられている霊場です。ここでいう「日本三不動」は、国や宗派などの公的機関が公式に決めた称号というより、古くからの信仰や伝承、観光案内の中でそう呼ばれてきた寺院群をさす言い方で、どのお寺を含めるかについては諸説あります。そのなかの一つとして、中野不動尊の名が挙げられることが多い、というイメージでとらえておくと良いでしょう。
山門をくぐると、杉木立の中に石段が続き、まるで別世界に入っていくような静かな空気に包まれます。本堂には「厄除不動明王」が祀られていると伝えられており、厄除け・難除け・家内安全・交通安全など、さまざまな願い事のご祈祷が行われています。こうしたご利益は、「そうした加護があると信仰されている」という意味であり、具体的な結果を保証するものではありませんが、古くから多くの人が心の支えとしてきた存在です。
足を進めていくと、朱色が美しい大日堂、岩盤をくり抜いた奥の院、滝のしぶきが気持ちいい不動滝、体の悪い部分をさすると良いとされる「とげぬき地蔵」など、厄や穢れを落とすことにまつわる場所が次々に現れます。洞窟のような奥の院を巡って歩くと、心の中のモヤモヤまで一緒に洗い流されていくようだと感じる人も多いようです。
中野不動尊で特に知られているのが「六三除け(ろくさんよけ)」の祈祷です。六三除けは、「人の生命を害するとされる六根の妄執(目・耳・鼻・舌・身・意から生まれる執着)と、三毒(貪り・怒り・愚かさ)を取り除く」ことを願う祈祷と説明されています。年齢や体質によって変わる不調や、心の中にたまった重たい感情を少しずつ軽くしていくイメージで受ける人も多く、「六三除け発祥の地」と紹介されることもあります。
六三除けの考え方の一つとして、「数え年を9で割ったときの余りの数字から、特に注意すべき体の部位を割り出す」という説明をしている寺社もあります。たとえば、余りが1なら頭や顔、3なら胸まわり…といった具合に、数字と体の場所を対応させた図を示し、その部位にかかわる災いを重点的に祓っていく、というイメージです。ただし、**どの数字がどの部位に対応するか、どこまで細かく見るかは寺社ごとに少しずつ違います。**中野不動尊を含め、六三除けを受けるときは、現地で掲示されている図や説明をよく読み、分からない点は寺務所でたずねてみると安心です。
厄年に限らず、「ここ数年なんとなく流れがよくない」「体の調子がすっきりしない」と感じている人が、心身を整えるきっかけとして六三除けを受けることも多いようです。ここで行われる祈祷は、あくまで心の区切りや精神的な支えとしての意味合いが強く、具体的な症状や病気が心配な場合は、必ず医療機関を受診したうえで、並行して祈りを捧げるというスタンスが望ましいです。
ご祈祷の初穂料は、2025年11月時点の公式情報にもとづく目安では、個人の場合5,000円・10,000円・20,000円・30,000円からとなっています。厄除けや六三除けもこの区分の中から選ぶ形で、金額によって授与されるお札の大きさや内容が変わります。祈祷時間や初穂料の体系は、今後変わる可能性もゼロではないため、実際に申し込む前には必ず公式サイトの「ご祈祷のご案内」や最新のお知らせを確認し、分からない点は直接問い合わせるようにしてください。
祈祷の受付時間は、2025年11月時点でおおむね8時30分〜16時30分(10月中旬〜12月は8時30分〜15時30分)が目安と案内されています。境内への参拝自体は17時ごろまで可能ですが、時期や行事によって変わることがあります。
中野不動尊では、郵送やFAXなどで六三除けの申込ができる仕組みも整えられています。専用の申込書に氏名・住所・生年月日・願いごとを記入し、指定された方法(現金書留や振込など)で祈祷料を納めると、お札やお守りが自宅に送られてくる形です。ただし、郵送祈祷は特に「受付期間」「送料」「入金方法」「金額の区分」などが変わりやすい部分です。インターネット上の古い記事だけを信じるのではなく、申し込む前に必ず公式サイトの最新案内を読み、心配であれば電話で「今はどのような形で郵送祈祷を受け付けていますか?」と確認してから申し込むようにしましょう。
中野不動尊は、東北自動車道・福島飯坂ICから車で約10分、飯坂温泉の中心街からも近い場所にあります。厄払いのあと温泉に入って体を温めて帰る人も多く、心と体の両方を整える一日にしやすいスポットです。山あいにあるため、冬場は路面が凍結することもあり、スタッドレスタイヤなどの準備をして安全運転で向かいましょう。
2-2 福島稲荷神社(福島市)安倍晴明ゆかりと伝わる開運の社
福島市中心部に鎮座する福島稲荷神社は、平安時代の陰陽師・安倍晴明がこの地の地相の良さを見て創建したと伝わる、歴史あるお社です。社伝では永延元年(987年)の創建とされ、長く福島城下とその周辺の人々を見守ってきました。市街地の中にありながら、境内に足を踏み入れると、喧騒がふっと遠のき、神聖な空気を感じることができます。
主祭神は衣食住を司る豊受比売命で、五穀豊穣や商売繁盛のご利益があると信仰されています。あわせて、大国主命や事代主命なども祀られており、縁結びや福徳、商売の繁栄など、日々の暮らしに関わるさまざまな願いごとが寄せられています。福島競馬場に近い土地柄から「勝馬守」や、桃の力で厄をはね返すイメージの「桃守」など、福島らしさが感じられる御守も多く、訪れた記念に一つ手にしてみたくなります。
ご祈祷の申し込みは、通常期は予約制になっていることが多く、電話で希望日時と内容を伝えて申し込む形です。個人の厄払い・厄除けの初穂料は、2025年11月時点の情報にもとづく目安としては5,000円からが一つの基準とされています。家内安全や商売繁盛などを合わせてお願いする場合も、同じ金額帯から申し込めることが多いですが、詳細な区分は神社側の判断で変わることがあります。初詣の期間など特に混雑する時期には、予約なしの当日受付のみになることもあるため、行く前に公式サイトのお知らせや電話で最新情報をチェックしておくと安心です。
福島稲荷神社では、毎年夏に「夏越大祓人形祭(なごしおおはらえひとがたまつり)」が行われます。本来は6月末に行われる夏越の大祓ですが、福島稲荷神社では月遅れの7月30日にこの行事を行うのが特徴です。紙の人形(ひとがた)に自分の名前を書き、体をなでて半年分の罪や穢れを移したあと、阿武隈川に流して清めるとされています。同じ日に茅の輪くぐりも行われ、多くの参拝者が訪れます。厄年の人にとっては、一年の折り返し地点にあたるこの日に参拝することで、「前半を無事に過ごせたことへの感謝」と「後半を落ち着いて過ごすための願い」の両方を込めることができます。行事の開始時間や細かな流れは年によって変わることもあるため、参加したい場合はその年の公式案内を必ず確認しましょう。
秋の例大祭は、神輿や山車が市街地をねり歩き、商店街も巻き込んだ大きなお祭りになります。JR福島駅から徒歩圏内というアクセスのよさもあり、仕事帰りや買い物のついでにお参りしたり、厄払いを申し込んだりしやすい神社です。行事の日程や内容は毎年微妙に変わることがあるため、参加したい場合は公式サイトの年間行事予定を確認し、スケジュールを合わせておきましょう。
福島稲荷神社については、基本的にご祈祷・授与は対面での参拝が前提として案内されています。授与品の種類によっては「お取り置きや郵送はいたしません」と明記されているものもあるため、「郵送でお札やお守りを受け取りたい」と考えている場合は、必ず神社に直接相談しましょう。感染症流行時など、特別な事情があるときに限って一時的な対応をとることもありますが、その内容は時期によって変わります。過去の一例だけを見て「今も必ず郵送してもらえる」と思い込まないよう、必ず最新のルールを確認することが大切です。
2-3 伊佐須美神社(会津美里町)会津の総鎮守として信仰される社
会津美里町に鎮座する伊佐須美神社は、古くから「岩代国一之宮」「会津総鎮守」として知られ、会津一帯を守ってきた由緒ある神社です。社伝では、日本の建国神話の時代にさかのぼるほど古い創建とされ、「二千年以上の歴史を持つ」と紹介されることもあります。実際の創建年代については諸説ありますが、長いあいだ地域の人々の信仰を集めてきたことは確かで、大きな鳥居をくぐると、その歴史の重みを自然と感じ取ることができます。
御祭神は、国生みの神である伊弉諾尊と伊弉冉尊の夫婦神に加え、大毘古命、建沼河別命の四柱です。大毘古命と建沼河別命は、古代に四道将軍として各地を鎮撫・開拓したとされる神々で、会津を含む東国の平定や発展に関わったと伝えられています。そのため、伊佐須美神社は、縁結びや夫婦円満、子育て、五穀豊穣、家内安全だけでなく、地域全体の安泰や発展を見守る神社としても厚く信仰されています。「会津の総鎮守」と呼ばれるのは、こうした背景があってのことです。
伊佐須美神社の厄除けで特に知られているのが「厄除玉(厄割玉)」です。参拝者は素焼きの玉を授かり、自分の厄や悩みをその玉に込めるイメージで「厄割り石」に向かって投げつけます。玉が割れることで、心の中にたまっていたものがパリンと砕けて飛んでいくような感覚を味わえるとされており、厄払いの実感が得やすいと人気があります。家族や友人と一緒に行って、お互いの厄が割れる様子を見守るのも心強い体験になるでしょう。
ご祈祷については、厄除けを含む特別祈祷の初穂料は、2025年11月時点では個人の場合10,000円からという区分が設けられています。これはあくまでその時点での目安であり、内容や金額が今後変わることも十分考えられます。社務所での直接申し込みのほか、遠方の人向けに郵送での祈祷にも対応しています。郵送祈祷の場合は、公式サイトから申込用紙(郵送祈祷申込票)をダウンロードし、住所や氏名、生年月日、願いごと、希望する祈祷の種類などを記入して、初穂料を指定の方法(現金書留・銀行振込など)で納める流れが基本です。祈祷が行われたあと、お札やお守りが自宅に送られてくる形になります。
ただし、申込方法や金額、取り扱いの期間などは変更されることがありますし、他の神社とは条件も異なります。
「伊佐須美神社で郵送祈祷をお願いしたい」と思ったら、必ず伊佐須美神社の公式サイトで最新の案内を確認し、分かりにくい点は社務所に問い合わせてから申し込むようにしましょう。郵送祈祷は、体調や距離の事情で参拝が難しい人にとって心強い仕組みですが、そのぶん「いつまで受け付けているか」「送料はどうなっているか」といった条件が変わりやすい点も意識しておきたいところです。
伊佐須美神社は、会津若松市の中心部や東山温泉、芦ノ牧温泉などと組み合わせて参拝しやすい場所にあります。厄払いを受けたあとに会津の城下町を散歩したり、温泉でゆっくり一泊したりと、「祈り」と「旅」を一度に楽しめるのも大きな魅力です。
2-4 開成山大神宮(郡山市)「みちのくのお伊勢さま」と呼ばれる社
郡山市のほぼ中央、開成山公園の一角に鎮座する開成山大神宮は、伊勢神宮から御分霊を勧請して創建された神社です。そのことから、「みちのくのお伊勢さま」「東北のお伊勢さま」として知られ、郡山市民はもちろん、県内外からも多くの参拝者が訪れます。鳥居をくぐると、整えられた参道の先に本殿が見え、街中にありながら凜とした雰囲気がただよっています。
御祭神は、伊勢神宮内宮の天照大御神、外宮の豊受大神、そして初代天皇とされる神倭伊波禮彦命(神武天皇)の三柱です。天照大御神は日本の総氏神とも言われ、開運招福や厄除けのご利益があると信仰されています。豊受大神は衣食住を守る神さま、神武天皇は国家の始まりを象徴する神さまとされ、それぞれのご神徳が重なり合うことで、生活全般を明るく照らしてくれるようなイメージがあります。なお、伊勢神宮の御分霊を祀る神社は全国に複数あり、その一社として東北地方を代表する存在が開成山大神宮だと考えると分かりやすいでしょう。
ご祈祷の初穂料は、2025年11月時点では個人の場合5,000円・7,000円・10,000円以上といった区分で案内されています。厄除けや家内安全、交通安全、安産祈願などの祈祷が行われており、初穂料の金額によってお札の大きさや内容が変わる仕組みです。これらの金額もあくまでその時点での目安であり、今後変更される可能性があります。
近年は、遠方の人や参拝が難しい人向けに、郵送での祈祷にも対応しており、公式サイトから「郵送御祈祷申込書」をダウンロードし、必要事項を記入して郵送すると、祈祷後にお札やお守りが自宅に届くようになっています。ただし、**郵送祈祷の取り扱い内容や初穂料の区分、送料負担の有無、受付期間などは神社ごとに少しずつ違い、見直されることもあります。**開成山大神宮でも、時期によって受付方法や受付時間が変わることがあるため、実際に申し込む前には必ず公式サイトの「ご祈祷案内」や「郵送御祈祷申込書」のページを確認し、必要があれば社務所に電話で問い合わせて、最新の受付時間・金額・申込手順を確認するようにしましょう。
開成山公園は桜の名所としても有名で、春になるとソメイヨシノを中心とする多くの桜が一斉に咲き誇ります。花見の季節には、神社に参拝したあと公園を散歩したり、出店で軽食を楽しんだりと、厄払いと春の行楽を一度に満喫できます。郡山駅からバスで15〜20分、磐越自動車道・郡山ICから車で約15分とアクセスもしやすく、日帰りでの参拝にも向いています。
2-5 福島のエリア別・厄払いでよく名前が挙がる社寺まとめ
福島県は、浜通り・中通り・会津と縦に長く広がる県です。そのため、「せっかくなら自宅から行きやすいところを選びたい」「旅行とセットで行ける場所が知りたい」と思う人も多いはずです。ここでは、厄払いでよく名前が挙がる社寺をエリア別に整理してみます。あくまで一例であり、ここに挙げていない場所が悪いわけではありませんが、候補を絞る際の参考になるはずです。
| エリア | 社寺の例(あくまで一例) | 特徴 |
|---|---|---|
| 福島市周辺 | 中野不動尊、福島稲荷神社、福島縣護國神社 など | 日本三不動と伝えられる不動尊、安倍晴明ゆかりとされる稲荷、信夫山の護國神社など個性豊かな祈願所が並ぶ。市街地と山あいのどちらの雰囲気も選べる。 |
| 会津地方 | 伊佐須美神社、圓蔵寺(柳津虚空蔵尊) など | 会津総鎮守として地域を見守る神社と、赤べこ伝説で知られるお寺があり、厄払いと観光が一度に楽しめる。城下町や温泉地とも近い。 |
| 郡山周辺 | 開成山大神宮、安積國造神社 など | みちのくのお伊勢さまと、郡山の古い鎮守として親しまれる神社があり、都市部の便利さと落ち着いた雰囲気を両立している。 |
| いわき周辺 | 飯野八幡宮、大國魂神社、金刀比羅神社 など | 浜通りの各地域を守る神社が点在し、厄除けや海上安全の祈願で多くの人が訪れる。海沿いのドライブと合わせて参拝しやすい。 |
| そのほか | 土津神社(猪苗代)、滑川神社(本宮) など | パワースポットとしても紹介される社が多く、自然豊かな環境の中で心を落ち着けてお参りできる。 |
どこに行くか迷ったら、まず「自宅や実家からの距離」、次に「好みの雰囲気(山の中で静かに、街中で便利に)」、さらに「温泉や観光と組み合わせたいかどうか」の三つを基準に考えてみると選びやすくなります。同じ厄払いでも、山寺でじっくり祈るのと、駅近の神社でサッと受けるのとでは、受け取る印象も少し変わってきます。自分の性格やライフスタイルに合った場所を選ぶことが、いちばん心に残る厄払いにつながるはずです。
③ 厄払い当日の準備とマナー(服装・持ち物・流れ)
3-1 どんな服装で行けばいい?フォーマルとカジュアルの中間を狙う
厄払いに行くときの服装は、「スーツじゃないと失礼なのかな?」と心配になる人も多いですが、必ずしも堅苦しい礼服である必要はありません。目安としては、「友人の結婚式ほどフォーマルでなくてもいいけれど、役所に書類を出しに行くよりは少しきちんとしている」くらいをイメージすると分かりやすいでしょう。普段着より少し背筋が伸びる服装を選ぶと、自然と気持ちも引き締まります。
男性なら、ビジネス用のスーツであればそのまま着て行って問題ありません。スーツを持っていない場合でも、襟付きのシャツにジャケット、落ち着いた色のチノパンやスラックスなどを合わせれば十分です。Tシャツの上にパーカーだけ、といった服装よりは、襟付きのシャツが一枚加わるだけで印象がぐっと変わります。靴もスニーカーより革靴寄りのものを選ぶと、全体の雰囲気が引きしまりますが、雪道の場合は滑りにくい靴を優先しても構いません。
女性の場合は、露出の少ないワンピースや、きれいめのブラウスにスカートまたはパンツを合わせるスタイルが無難です。色は黒やグレーにこだわる必要はなく、ネイビーやベージュ、生成りなどの落ち着いた色であれば問題ありません。派手すぎる柄物や、大きなロゴが入った服、肩や胸元が大きく開いている服は避けたほうが安心です。アクセサリーも、シンプルなものを少しだけにすると、清潔感のある印象になります。靴はヒールが高すぎないものを選び、境内の砂利道や石段でも歩きやすいようにしておくと安全です。
福島は冬の寒さが厳しい地域なので、特に1〜2月の参拝では防寒対策がかなり重要です。コートやマフラー、手袋、厚手の靴下などをしっかり用意し、待ち時間にも体が冷えないようにしましょう。ご祈祷の間は社殿の中でコートを脱ぐこともあるので、その下に着る服も暖かさを意識して選ぶと安心です。帽子は、社殿に入る前には基本的に脱ぎますが、境内を歩く間は防寒のためにかぶっていても問題ありません。
3-2 初穂料(祈祷料)の相場とのし袋の書き方・渡し方
初穂料や祈祷料は、いくら用意すればよいのか分かりにくい部分です。一般的には、神社や寺院の個人向けご祈祷の相場は3,000〜10,000円程度と言われています。厄払いの場合は、5,000円前後からお願いできるところが多く、特別な祈祷や家族全員で申し込む場合は、もう少し高めの金額を勧められることもあります。ただし、これらはあくまで全国的に見た「よくある目安」であり、実際の金額や区分は寺社ごとに異なります。
前の章で紹介したように、福島の代表的な社寺では、2025年11月時点の目安として、
-
中野不動尊:5,000円・10,000円・20,000円・30,000円から
-
福島稲荷神社:5,000円からが一つの目安
-
伊佐須美神社:厄除けの特別祈祷が10,000円から
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開成山大神宮:5,000円・7,000円・10,000円以上
といった区分が案内されています。ただし、これはあくまで**現時点で公表されている一例であり、将来も必ず同じとは限りません。**神社やお寺の事情、物価の変化などによって、金額や区分が見直されることもあり得ます。実際に参拝する前には、各社寺の公式サイトや電話で詳細を確認し、「今はどのくらいが一般的ですか?」と聞いてみるのが安全です。
のし袋は、文房具店や100円ショップで売っている紅白の蝶結びのものを用意します。表面の上段に「初穂料」または「玉串料」と書き、下段に祈祷を受ける人のフルネームを楷書で書きます。家族全員の名前を書く必要はなく、代表者の名前を一人分だけ書けば十分な場合がほとんどです。中袋がある場合は、表面に金額を「金五千円」「金壱萬円」のように旧字体の漢数字で書き、裏面に住所と氏名を書いておきましょう。
当日、受付でのし袋を渡すときは、あらかじめカバンから出して持ち、相手から文字が読める向きにして両手で差し出します。多くの場合、受付で申込用紙を記入し、初穂料を納め、番号札や名前が書かれた紙を受け取る流れになります。金額に不安があるときは、「厄払いで一般的な金額はどのくらいでしょうか」と事前に電話で相談しておくと気持ちが楽になります。大事なのは「周りと比べてどうか」ではなく、自分の無理のない範囲で、感謝の気持ちを込めて納められる金額を選ぶことです。
3-3 受付からご祈祷までの流れをイメージしておこう
当日の流れをあらかじめイメージしておくと、初めての厄払いでもあまり緊張せずに済みます。福島の多くの神社・お寺では、厄払いの流れは次のような段取りになっている場合が多いです。
まず、境内に入ったら手水舎で手と口を清めます。柄杓を右手で持ち、左手・右手の順に洗い、口をすすいでから柄杓そのものも軽く洗い流して戻すという基本的な作法ですが、分からなければ周りの人の動きを真似すれば大丈夫です。そのあと、本殿や本堂の前で軽く一礼し、「これから厄払いのご祈祷を受けさせていただきます」と心の中で挨拶してから社務所や寺務所へ向かいましょう。
受付では、氏名・住所・生年月日・願いごとなどを書く申込用紙を渡されることが多いです。「厄払い」「厄除け」「家内安全」などの欄から該当するものを選び、必要事項を記入して係の人に渡します。そのときに、先ほど用意したのし袋に入れた初穂料も一緒に納めます。ここで「厄年かどうか不安」「前厄と本厄のどちらに当たるのか分からない」という場合は、遠慮なく相談してみましょう。生年月日を伝えれば、その年が前厄・本厄・後厄のどこに当たるかを教えてもらえます。
申し込みが終わると、待合所で名前を呼ばれるまでしばらく待機します。時間は混雑状況によりますが、10〜30分程度のことが多いです。名前が呼ばれたら、他の参拝者と一緒に本殿・本堂の中へ案内されます。靴を脱いで上がる場合もあるので、脱ぎ履きしやすい靴を選んでおくと便利です。
ご祈祷が始まると、神職や僧侶が祝詞や経文を唱え、太鼓や鈴の音が響きます。途中で頭を下げたり立ち上がったりする場面もありますが、そのときも周りの人の動きに合わせれば大丈夫です。神社の場合は玉串奉奠、お寺の場合は焼香などを行うこともあり、案内に従って静かに進めていきます。祈祷の時間は、短いところで10分ほど、長いところでは30分近くかかることもあります。祈祷が終わると、お札やお守り、記念品などが渡され、最後に本殿・本堂に一礼して退出するのが一般的な流れです。
3-4 子ども連れ・高齢の家族と行くときに気をつけたいポイント
厄払いは、一人で行く人もいれば、家族みんなで行く人も少なくありません。小さな子どもや高齢の家族と一緒に参拝する場合は、事前にいくつか準備をしておくと当日がぐっと楽になります。
まず、境内の地形を確認しておきましょう。中野不動尊のような山寺では、坂道や階段が多く、足腰への負担が大きくなりやすいです。小さな子どもを連れていくときは、ベビーカーよりも抱っこひもが活躍する場面が多くなるかもしれません。高齢の家族が一緒の場合は、杖や滑りにくい靴を用意し、こまめに休憩を取りながらゆっくり進むつもりでスケジュールを立てましょう。駐車場から本殿・本堂までの距離も事前に調べておくと、体力に合わせたペース配分がしやすくなります。
ご祈祷そのものは15〜30分ほど続き、その間は静かに座っている必要があります。子どもが退屈してしまいそうな場合は、音の出ないおもちゃや、小さな絵本などを用意しておくと安心です。ただし、本殿や本堂の中での飲食は基本的に禁止されているので、水分補給やおやつは待ち時間や車の中などで済ませるようにしましょう。「静かにしなさい」と厳しく言いすぎるよりも、「今から神さま(仏さま)にごあいさつする時間だよ」と前もって説明しておくと、子どもも雰囲気をつかみやすくなります。
冬場の参拝では、防寒対策も大切です。特に高齢の家族は足元から冷えやすく、ひざ掛けや厚手の靴下があるだけで体感温度がかなり変わります。待ち時間が長くなりそうな場合は、カイロやホッカイロを多めに用意しておくと安心です。「無理をしない」「具合が悪くなりそうならすぐ休む」という約束をあらかじめ家族の中で共有しておくと、当日も落ち着いて過ごせます。
3-5 車・電車で行くときのチェックポイントとよくある失敗例
福島での厄払いは、車で出かける人が多いですが、そのぶん「駐車場がいっぱいで焦った」「道を間違えて時間ぎりぎりになってしまった」という声もよく聞きます。ありがちな失敗を避けるために、いくつかポイントを押さえておきましょう。
まず、事前に公式サイトなどで「アクセス」のページを確認し、推奨されているルートと駐車場の場所を把握しておきます。カーナビに住所を入れても、細い裏道や社務所の裏側に案内されてしまうことがあるので、「どの道から入ると一番スムーズか」を頭に入れておくと安心です。特に正月三が日や節分前後は、駐車場の入り口が一時的に変わったり、一方通行の規制がかかったりすることもあります。道路標識や案内看板を見落とさないよう、余裕を持って運転しましょう。
冬は、山あいの道や橋の上などが凍結しやすくなります。中野不動尊のように山側にある寺院へ向かう場合は、スタッドレスタイヤの装着はほぼ必須と考えておいたほうがいいでしょう。出発前に天気予報や道路状況を確認し、雪や凍結が心配な日は、時間にさらに余裕を持つか、日程をずらすことも選択肢に入れておきたいところです。雪道の運転に慣れていない人は、無理をして早朝や夜に出かけるのではなく、日中の明るい時間帯を選ぶと安心です。
電車で行く場合も、最寄り駅からのバスやタクシーの本数をチェックしておく必要があります。特に日曜日や祝日はバスの本数が少なく、帰りの時間が合わなくなることもありえます。行きの交通手段だけでなく、帰りの時間も前もって調べておき、「この時間までに祈祷が終わっていないと厳しい」という目安を決めておけば、当日慌てずに済みます。いずれの場合も、「早めに着いて境内をのんびり散歩する」くらいの気持ちでスケジュールを組むのが、厄払いの一日を穏やかに過ごすコツです。
④ 福島での厄払いに関するよくある疑問Q&A
4-1 正月を過ぎても大丈夫?厄払いはいつまで受けられる?
「仕事の休みが合わなくて、正月のうちに行けなかった」「気づいたら節分も過ぎてしまった」という人は少なくありません。そんなとき、「もう厄払いは受けられないのでは」と心配になるかもしれませんが、多くの神社・お寺では、厄払いの祈祷を一年中受け付けています。
たしかに、昔から「松の内のうちに」「節分までに」と言われることが多く、その時期は特に参拝者が集中します。これは、一年の始まりや季節の節目に合わせて祈祷を受けることで、気持ちの切り替えがしやすいからです。しかし、期限を過ぎたからといって、厄払いそのものが受け付けてもらえなくなるわけではありません。
実際には、3月以降の落ち着いた時期に「ようやく時間に余裕が出来たので」と言って厄払いを受ける人も多いです。そのほうが、駐車場や待合室も混みすぎず、静かな雰囲気の中でご祈祷に集中できるというメリットもあります。大切なのは、「行けなかった自分を責める」のではなく、「今からでも丁寧に向き合おう」と考え方を切り替えることです。思い立ったタイミングで参拝し、「ここからの一年を大事に過ごそう」と心に決めることが、一番の厄除けになるのかもしれません。
4-2 予約は必要?混みやすい時期と比較的空いている時期
予約が必要かどうかは、神社やお寺によってルールが異なります。代表的な例を挙げると、中野不動尊は通常期は随時の受付で、決まった時間ごとにまとめてご祈祷を行うスタイルのことが多いです。福島稲荷神社は、通常期のご祈祷は予約が基本で、電話で希望日時を伝える形をとっています。伊佐須美神社は、受付時間内であれば予約不要で祈祷を受けられることが多く、開成山大神宮は一般祈祷については随時受付を行うことが基本になっています。
ただし、どこも正月期間や大きな祭礼の前後などには特別体制になることがあり、普段とは違う受付方法や時間になっていることがあります。最終的には、各社寺の公式サイトや社務所への問い合わせで確認するのが確実です。
混みやすい時期は、やはり正月三が日と、成人の日の連休、節分前後の土日などです。この期間は駐車場の待ち時間も長くなりがちで、場合によっては祈祷の受付を早めに締め切ることもあります。仕事や学校の都合でどうしてもこの時期にしか行けない場合は、開門時間の少し前に到着するつもりでかなり早めに行動すると、待ち時間を減らせます。
一方で、比較的空いているのは、1月中旬から下旬の平日、または3月以降の通常期です。この時期は、駐車場も社務所も落ち着いていることが多く、ゆっくりと相談しながら申し込みを進めることができます。人混みが苦手な人や、小さな子ども・高齢の家族と一緒に行く人は、あえて繁忙期を外した日程を選ぶのも良い方法です。
4-3 1年に何回も厄払いしてもいいの?前厄・本厄・後厄の考え方
「前厄で一度受けたけれど、本厄でもう一度受けるべき?」「前厄・本厄・後厄の3年連続で厄払いをするとやり過ぎだろうか?」という疑問もよく聞きます。結論から言えば、1年に何回厄払いを受けても問題はありませんし、むしろ前厄・本厄・後厄の3年間を通して祈祷を受けることを勧めている神社もあります。
前厄は、「これから迎える本厄に備える準備期間」として、体調や生活のリズムを整え始める年と考えられます。本厄は、「変化が最も大きいとされる年」で、健康面や人間関係、仕事などで無理をしないよう特に意識するタイミングです。後厄は、「徐々に元の状態へ戻っていく一年」で、ここで気を抜きすぎず、丁寧に過ごすことで、厄年の3年間を安定して乗り越えることができます。
もちろん、毎年必ず行かなければならないという決まりはありません。仕事や家庭の事情で何度も行くのが難しい場合は、本厄の年だけしっかり祈祷を受ける形でも十分です。「気になったときにもう一度行きたい」と思えば、その気持ちを大切にして再び申し込めばよいですし、「今年はすでに一度行ったから、あとは自分の生活の中で気をつけていこう」と考えるのも自然な選択です。回数にこだわるよりも、「この一年をどう生きたいか」を考えるきっかけとして厄払いを使うほうが、心の納得感は大きくなります。
4-4 体調が悪いときや妊娠中はどうする?郵送祈祷という選択肢
体調を崩しているときや、妊娠中で長時間の外出が不安なときなど、「厄払いを受けたいけれど、神社やお寺まで行くのが大変」という状況もあるはずです。そんなときに無理をして出かける必要はありません。近年は、特に大きな神社やお寺を中心に、郵送によるご祈祷やインターネット申込に対応するところが増えてきています。
福島で紹介した社寺の中でも、中野不動尊や伊佐須美神社、開成山大神宮などでは、申込用紙を郵送したり、公式サイトから申込書をダウンロードして送ったりすることで、現地に行けなくても祈祷を受けられる仕組みが整えられています。基本的な流れとしては、氏名や住所、生年月日、願いごとを記入した申込用紙と初穂料を送付し、後日、祈祷済みのお札やお守りが自宅に届くという形です。
ただし、それぞれの神社・お寺ごとに申込方法や初穂料の区分、郵送料の扱いなど細かな条件は異なり、受付期間も変わることがあります。郵送祈祷は特に、古いブログ記事や口コミの情報がそのまま通用しないことが多い部分なので、「必ず公式サイトや直接の問い合わせで最新情報を確認する」ことを強くおすすめします。福島稲荷神社のように、授与品によっては「お取り置き・郵送は不可」と明記されている例もあるため、「どこでも郵送してもらえる」と思い込まず、一社一社ルールを確かめることが大切です。
また、家族の代表者だけが参拝に行き、本人は自宅で静養しているという形も一般的です。その場合は、申し込み時に「本人は体調の事情で参拝できないが、代わりに厄払いをお願いしたい」と伝えれば、多くの社寺で丁寧に対応してもらえます。
大前提として、神社やお寺で行う祈祷は医療行為ではありません。
熱が続いている、息苦しい、胸が痛いなど、具体的な症状や病気が心配なときは、まず病院やクリニックで診察を受けましょう。そのうえで、「これからの治療がうまく進むように」「家族で支え合えるように」と心の支えとして祈祷をお願いする形にすると、現実的で安全なバランスになります。
4-5 お守り・お札の置き場所と、古くなったときの納め方
厄払いを受けると、お札やお守りを授与されることが多いです。これらをどう扱えばよいのか、初めての人は迷うかもしれませんが、基本的なポイントさえ押さえれば難しくありません。
お札は、家を守ってもらう「神さまのお札」なので、なるべく清潔で静かな場所にお祀りします。神棚がある家庭では、最上段の中央に氏神さま、左右に伊勢神宮や崇敬神社のお札を並べるのが一般的です。神棚がない場合は、リビングや寝室の壁の高い位置に小さな棚をつけて、そこに立てかける方法もあります。向きは、東向きか南向きにするのがよいとされていますが、家の構造上どうしても難しい場合は、「家族が自然と目にする位置に置く」ことを優先してもかまいません。
神社のお札とお寺のお札は、できれば場所を分けてお祀りしたほうがよいとされます。たとえば、神社のお札は神棚や部屋の高い位置に、お寺のお札は仏壇や別の棚に、という具合です。一つの棚にどうしてもまとめる場合は、少し距離をあけて置き、それぞれに向かって感謝の気持ちを伝えるようにすると良いでしょう。
お守りは、種類に応じて持ち歩いたり、家の中の特定の場所に置いたりします。交通安全のお守りは車や通勤カバンに、健康のお守りは枕元に、厄除けのお守りはいつも持ち歩く財布やポーチに入れておくと、自分の願いを思い出すきっかけにもなります。ただ、あまりにもたくさん持ちすぎると、どこに何があるか分からなくなってしまうので、「今の自分にとって特に大切なもの」を中心に絞るのも一つの方法です。
古くなったお札やお守りは、年末年始や節分の時期などに、神社やお寺の「古札納所」に納めます。受け取った場所まで持っていければ理想ですが、遠方の場合は、近くの神社やお寺に相談して納めても問題ありません。ゴミとしてそのまま捨てるのは避け、「一年間守ってくれてありがとう」という気持ちを込めてお返しすることで、次に授かるお札やお守りも、より大切に扱えるようになるでしょう。
⑤ 福島の厄払いをきっかけに運気アップするコツ
5-1 厄払いと一緒に立ち寄りたい福島の温泉地
福島県は、全国的にも温泉地が多い県としてよく紹介されます。厄払いで心を整えたあと、温泉で体もゆるめてあげると、一日を通して「リセットされた」という感覚がぐっと強くなります。「厄払い=お祓いだけで終わる日」ではなく、「自分をねぎらう日」にしてしまうのも良い考え方です。
中野不動尊と組み合わせやすいのは、なんといっても飯坂温泉です。古くから「奥州三名湯」の一つとされ、共同浴場や足湯、日帰り温泉施設がたくさんあります。厄払いのあと、湯船につかりながら静かに一年の目標や不安を見つめ直す時間は、何よりのご褒美になるはずです。雪が降る時期には、露天風呂から眺める冬景色も格別です。「あのとき、不動尊でお願いしたことを大事にしていこう」と心の中でそっと確認する時間にもなります。
会津方面では、伊佐須美神社と東山温泉・芦ノ牧温泉の組み合わせが人気です。会津若松の城下町を散策し、鶴ヶ城や七日町通りなどを楽しんだあと、温泉宿でゆっくり一泊すれば、心も体もふわっと軽くなります。厄払いを「観光旅行の一部」にすることで、「大変な年だから何とかしなきゃ」という重い気持ちが、「この一年を良いものにしていこう」という前向きな思いに近づいていくでしょう。
郡山周辺なら、開成山大神宮で厄払いを受けてから、磐梯熱海温泉へ足を伸ばすコースもおすすめです。郡山駅から電車で約15分と近く、日帰り入浴を受け付けている宿や施設も多いので、半日あれば十分楽しめます。「厄払い+温泉」をあらかじめセットで計画しておくことで、参拝の緊張感と温泉のリラックスがちょうどよくバランスした一日になります。
このように、「厄払い×温泉」を組み合わせると、心と体の両方をいたわる一日になり、その一年を大切に生きていこうという気持ちが自然と強まっていきます。
5-2 御朱印・お札・お守りの整理と、自宅での祈り方
厄年のあいだは、自然と神社やお寺に足を運ぶ機会が増え、お札やお守り、御朱印もどんどん増えていきます。整理が追いつかなくなってしまうと、「たくさんあるのに、どれがどれだか分からない」という状態になりかねません。そこで、簡単なルールを作っておくと扱いやすくなります。
まず、お札は家の中でもっとも大切にしたいものとして、「ここが祈りの中心」という場所を一つ決めてまとめておきます。神棚がある場合はそこに、ない場合はリビングの高い棚や、クローゼットの上に小さな台を置くなどして、そこを「お札スペース」にしましょう。お札を立てる台が市販されているので、それを使うと安定してお祀りできます。並べ方に迷ったら、真ん中に氏神さま、左右に伊勢神宮や崇敬神社のお札を置く並び方を基本としておけば大きく外すことはありません。
お守りは、用途別に分けるのがコツです。「持ち歩くもの」「家に置いておくもの」「車専用」と三つくらいに分類し、それぞれの場所を決めておきます。たとえば、持ち歩くものはカバンの内ポケットにまとめて入れ、家に置いておくものは玄関の棚にカゴを置いてそこに入れるなど、定位置をつくると忘れ物も減ります。御朱印帳は、直射日光が当たらない本棚の一角にまとめて立てておき、年に一度くらい開いて眺めてみると、その年にどんな出会いがあったかを振り返るきっかけになります。「あのとき、こんな気持ちで参拝したな」と思い出すことで、自分の成長を実感できることもあります。
自宅での祈り方は、決して難しいものではありません。朝や夜に少し時間を取って、お札の前に立ち、軽く一礼してから、心の中で「いつも見守ってくださってありがとうございます」「今日一日も無事に過ごせますように」と静かに唱えるだけでも十分です。声に出さなくてもかまいません。大切なのは、ほんの短い時間でも意識を自分の内側に向け、「この一年をどう生きたいか」をそっと確認する習慣を持つことです。厄払いで授かったお札やお守りは、その習慣を支えてくれる存在になってくれます。
5-3 「厄年だからこそ」見直したい生活習慣とものの考え方
厄払いを受けたからといって、すべてのトラブルがきれいになくなるわけではありません。同じように、厄払いに行かなかったからといって、必ず何か悪いことが起こるわけでもありません。現実の生活を整えるのは、やはり日々の習慣とものの考え方です。だからこそ、厄年は「自分の暮らしを見直すチャンス」と考えてみると、少し気持ちが楽になります。
まず、体を大切にする習慣は、どんな人にとっても大事です。睡眠時間を大きく削り続けていないか、食事が偏っていないか、運動不足が続いていないか、一度振り返ってみましょう。特に40代前後は、若いころの無理が体に出始める時期でもあります。健康診断を先送りにせず、気になる症状があれば早めに医療機関を受診することも、自分を守るための大切な行動です。「この一年だけは、定期検診をきちんと受ける」と決めるだけでも、厄年の意味合いがポジティブなものに変わっていきます。
次に、人との関わり方です。仕事や家庭の責任が重くなると、ついイライラした言葉を口にしてしまったり、自分を責めすぎたりしがちです。厄年をきっかけに、「疲れたときは休んでもいい」「困ったときは人に助けを求めてもいい」と自分に許可を出す練習をしてみるのも良いでしょう。心がすり減りすぎる前に、小さな楽しみを生活の中に用意しておくことも大事です。たとえば、「週に一度は好きな本を読む」「月に一度はゆっくり温泉に行く」など、自分を労わる時間を意識的に作ってみてください。
そして、「厄年だから悪いことが起きるに違いない」と考えすぎないことも重要です。そう考えてしまうと、ちょっとした失敗や偶然のトラブルまで、すべてを厄年のせいにしてしまい、かえって不安が大きくなります。「厄年は、気をつけるべき年齢を教えてくれるサイン」「厄払いは、そのサインをきっかけに生活を整えるための儀式」と受け止めることで、厄年は恐れるものではなく、「自分をいたわる年」へと姿を変えていきます。
5-4 福島ならではの年中行事や風習もチェックしておこう
福島の神社やお寺では、厄払い以外にも一年を通してさまざまな行事が行われています。これらをうまく組み合わせると、「一度だけ厄払いに行って終わり」ではなく、一年のリズムの中に自然と祈りの時間を組み込むことができます。
福島稲荷神社では、先ほども触れたように、毎年7月30日に「夏越大祓人形祭(夏祭り)」が行われます。紙の人形に自分の名前を書き、体をなでて穢れを移し、阿武隈川に流したあと、茅の輪をくぐることで、半年分の厄を祓うとされています。月遅れの夏越の大祓として、福島ならではの風情ある行事になっており、厄年の人にとっても印象に残る一日になるはずです。
中野不動尊では、六三除けを中心に一年を通してさまざまな護摩祈祷が行われています。特定の日には水行が行われることもあり、厳しい修行の様子を見学するだけでも、自分の生活を見直すきっかけになります。節分の時期には、豆まきや特別な祈祷が行われることもあり、「厄年だからこそ節分の行事に参加してみたい」という人が足を運ぶことも多いようです。
福島県の各地には、厄年や歳重ねの年に洗剤やタオル、お菓子などを配る風習が残る地域もあります。こうした習慣は、福島県立博物館の資料や地元新聞の連載記事で紹介されており、「厄を一人で抱え込まず、周りの人と分かち合い、助け合って生きていく」という考え方のあらわれだとされています。実際に自分で配るかどうかは別として、こうした話にふれるだけでも、「厄年を前向きに受け止めてきた先人たちの知恵」に触れた気持ちになれるはずです。
こうした行事をうまく取り入れるには、まず手帳やカレンダーに「初詣」「節分」「夏越大祓」「秋の例大祭」「年末の感謝参り」といったキーワードを書き込んでおくことが役立ちます。予定が合えば足を運び、難しければ家で軽く手を合わせるだけでも構いません。厄年の一年を、単なる「つらい年」ではなく、「自分の生き方を整える一年」に変えていくためのヒントが、こうした行事の中にはたくさん詰まっています。
5-5 写真やSNSで厄払いを記録するときのマナーと工夫
最近は、厄払いに行ったことを写真やSNSでシェアする人も増えています。あとから見返したときに「あのとき頑張って行ったな」と思い出せるのは良いことですが、神社やお寺は多くの人にとって神聖な場所です。写真を撮るとき、投稿するときには、いくつかのマナーを意識しておきたいところです。
まず、本殿や本堂の内部は、撮影禁止になっている場合が多いので、掲示されている案内や神社・お寺のルールに従いましょう。撮影可能な場所でも、参拝している人の顔がはっきり写り込まないように配慮することが大切です。特に子どもや高齢の人の顔が大きく映ってしまうと、後からトラブルになる可能性もあります。神職や僧侶の姿を撮りたいときは、必ず事前に許可をとり、NGの場合はすぐにあきらめるようにしましょう。
おすすめなのは、ご祈祷がすべて終わったあとに、鳥居の前や参道、境内の木々を背景に一枚だけ記念写真を撮ることです。お札やお守りを軽く手に持ち、「今年一年を大切に過ごそう」と心の中で誓いながら撮れば、その写真自体が自分だけのお守りのような役割を果たしてくれます。SNSに投稿するときは、場所の名前や感謝の気持ちを添え、「無事に厄払いを受けてきました」「この一年をいい年にできるよう頑張ります」といった前向きな言葉を添えると、見ている人にも温かさが伝わります。
一方で、お札やお守りを雑に扱っているように見える写真や、ふざけたポーズで撮った写真は、見る人によっては不快に感じることもあります。投稿する前に、「神社やお寺の方がこの写真を見たらどう思うだろう」「自分の家族が見たらどう感じるだろう」と一度立ち止まって考えてみると、安全なラインが見えやすくなるでしょう。厄払いの写真は、単なる「ネタ」ではなく、「自分がその年を真剣に生きようとしている証」として残しておくと、時間がたったときに大切な記録になります。
まとめ
福島での厄払いは、単に「悪いことを避けるためのお祓い」ではなく、自分や家族のことをあらためて大切に考える時間でもあります。中野不動尊、福島稲荷神社、伊佐須美神社、開成山大神宮など、県内には歴史や御祭神、伝えられているご神徳が少しずつ違う社寺がたくさんあり、それぞれに特色と魅力があります。どこを選んでも「ここで祈ることに意味がある」と感じられる場所ばかりです。
厄年そのものに科学的な根拠があるわけではありませんが、人生の中で体や環境の変化が大きくなるタイミングを示してくれるサインとして、うまく付き合っていくことができます。厄払いをきっかけに、生活習慣を整えたり、人との関係を見直したり、福島の温泉や年中行事を楽しんだりすれば、厄年は「不安な年」から「自分を整える年」へと姿を変えていきます。
この記事で紹介した厄年の年齢や初穂料、行事の日程などは、全国的・地域的に「よく使われる標準的な目安」をもとにしています。**実際に参拝するときは、必ず行き先の神社・お寺の厄年表やご祈祷案内を確認し、その案内を最優先にすることが大切です。**特に福島県内では、同じ地域の中でも神社ごとに61歳・62歳の扱いが違ったり、郵送祈祷の有無が違ったりします。こうした違いを尊重しながら、自分の心が落ち着く社寺を選び、無理のないタイミングで厄払いに足を運んでみてください。
厄を恐れるのではなく、「ここからもう一歩前へ進むための節目」として受け止められたとき、その一年はきっと、これまでとは少し違った意味を持つはずです。


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