1. 岩手で厄払いを考えたら…まず「厄年」をちゃんと知ろう

「今年、自分は厄年らしい」と気づいたとき、何となくそわそわしたり、「このままで大丈夫かな」と不安になったりしませんか。特に30代・40代・60代といった節目の年齢は、仕事や家庭で大きな変化が重なりやすく、「このタイミングで厄払いに行っておいた方がいいのかな」と考える人も多いはずです。
厄年は、「不幸が必ず起こる年」というより、「体や環境が変わりやすいからこそ、自分を丁寧に扱うべき年」ととらえることができます。この記事では、そんな厄年の基本的な仕組みや意味を、むずかしい言葉をできるだけ使わずに解説しながら、岩手県内で厄払いができる代表的な神社・お寺、当日の流れや服装・祈祷料の目安、日常でできる厄除けの習慣まで、まるごと一つにつながるようにまとめました。
盛岡八幡宮や櫻山神社、志和古稲荷神社、陸中一宮 駒形神社、中尊寺・毛越寺といった、岩手らしさを感じられるスポットも登場します。「どこに行けばいいの?」「いつまでに受ければいい?」「一人で行っても平気?」といった疑問も、この一記事を読めばかなりスッキリするはずです。
岩手だからこそできる厄払いの形を見つけて、不安を少し軽くしながら、新しい一年を自分らしくスタートさせていきましょう。
1-1. 厄年ってそもそも何?意味と由来をやさしく解説
「厄年」と聞くと、「悪いことが起こる年」とだけ思ってしまいがちですが、本来はもう少し落ち着いた考え方です。神社本庁などでは、厄年を「心身の変調や社会的な変化が起こりやすく、慎重であるべき時期」と説明していて、昔の人が経験則から「この年回りは気をつけた方がいい」と感じたことが背景にあります。
医学的・統計的に「厄年だから災難が増える」と証明されているわけではありませんが、人の体や生活が大きく変わる時期と厄年の年齢はたしかに重なりやすくなっています。たとえば40代になると体力の衰えを感じやすくなり、仕事でも責任が増え、親の介護や子どもの進学など、家庭でもやることがどっと増えます。そんな「疲れがたまりやすく、判断ミスもしやすい年齢」を「厄」として意識し、気をつけて暮らしましょうというのが、厄年の本来の意味だと考えると分かりやすいです。
昔の日本では、病気や事故の原因がよく分からなかったぶん、「目に見えない存在に守ってもらおう」と考える文化が今より強くありました。そこで、節目の年齢になると神社やお寺で祈祷を受け、家族や地域のみんなでその人を支える習慣ができました。今の私たちから見ると少し大げさに感じるかもしれませんが、「危ない時期だからこそ周りも気にかける」という意味では、とても合理的な仕組みとも言えます。
1-2. 男性・女性・子どもの本厄は何歳?前厄・後厄の考え方
一般的に広く知られている本厄の年齢は、次のとおりです(いずれも数え年)。
| 区分 | 本厄(代表的な年) | 備考 |
|---|---|---|
| 男性 | 25歳・42歳・61歳 | 特に42歳は「大厄」と呼ばれることが多い |
| 女性 | 19歳・33歳・37歳・61歳 | 33歳が「大厄」とされることが多い |
ここでいう「数え年」は、生まれた瞬間を1歳とし、正月を迎えるたびに1歳ずつ加えていく数え方です。同じ年に生まれた人は、誕生日に関係なくみんな同じ数え年になります。現代の満年齢と違うので少し分かりにくいのですが、多くの神社では境内や公式サイトに厄年表を掲示してくれているので、自分で計算するのが不安な人はそこで確認すると安心です。
さらに、子どもにも節目とされる年があり、1歳・4歳・7歳・10歳・13歳・16歳などを子どもの厄年として紹介する神社もあります。特に13歳前後は「十三参り」として、知恵や学業成就を祈る行事を行う地域もあります。ただし、これらの年齢は全国共通の絶対ルールではなく、「どの年齢を節目とするか」「どこまでを厄年と呼ぶか」は、神社や地域によって考え方が違います。参拝する予定の神社の厄年表に合わせて考えるのがいちばん確実です。
また、本厄の前の年を「前厄」、後の年を「後厄」と呼び、合計3年間を特に慎重に過ごすという考え方もよく知られています。前厄は「厄が入り始める年」、後厄は「厄が抜けていく年」とされ、3年続けて祈祷を受ける人も多いです。ただし、これも地域差があり、「本厄だけ受ける」「前厄と本厄の2年だけ受ける」など、家の方針や本人の考え方もさまざまです。
1-3. 岩手でも厄払いする人が多い理由と地域ならではの風習
岩手は、今でも家族や地域のつながりが比較的強く残っている地域です。昔ながらの行事も大切にされていて、厄年になると「せっかくだから一度きちんと祈祷を受けておこう」と考える人が少なくありません。特に40代・60代前後は、仕事でも家庭でも大きな変化が起こりやすく、「ここで一度リセットしたい」「家族に心配をかけたくない」といった思いから、厄払いに行く人が多いようです。
平泉の毛越寺で行われる「二十日夜祭(はつかやさい)」では、厄年の人びとがたいまつを持ち、境内を練り歩きながら無病息災や家内安全を祈ります。こうした行事は、厄年の人をみんなで支えるという意味も持っていて、「自分だけで厄年を背負っているわけではない」と感じさせてくれる存在です。
また、岩手には温泉地が多く、「厄払い+温泉」という組み合わせもとても人気です。厳しい冬の寒さを感じながら神社仏閣で手を合わせ、そのあと温泉でゆっくり温まると、「悪いものを全部洗い流して、新しい一年を迎えよう」という気持ちになりやすくなります。自然の厳しさと恩恵の両方を知る土地だからこそ、厄払いという習慣が今も生活の中に根づいているのかもしれません。
1-4. 厄払い・厄除け・お祓いって何が違うの?
「厄払い」「厄除け」「お祓い」「ご祈祷」「ご祈願」など、似たような言葉がたくさんあって、どれがどう違うのか分かりにくいですよね。実は、全国共通の厳密なルールがあるわけではなく、寺社によって使い方が少しずつ違うことも多いです。
おおまかに整理すると、神社では、災いを遠ざけることを願う祈りを「厄祓い」「厄除け」と呼び、その儀式全体を「ご祈祷」と呼ぶことが多くなっています。お祓い(おはらい)は、厄年に限らず、人や物、土地などについたとされる「けがれ」を祓い清める行為全般を指し、交通安全や地鎮祭などもその一種と考えられます。
お寺では、「厄除け祈願」「ご加持」「護摩祈祷」などのことばがよく使われます。たとえば平泉の中尊寺では、不動堂で厄除開運・身体健全などの新春祈祷を受け付けており、郵送で申し込んでお札を送ってもらうこともできます。毛越寺でも本尊の薬師如来の前で、厄除や家内安全などのご祈祷が行われています。
どの言葉が使われていても、「不安を少しでも軽くして、この先をよい一年にしたい」という願いは同じです。申し込みのときに迷ったら、「厄年なので、一般的な厄払いをお願いしたいです」と伝えれば、神社やお寺の側で最適な内容に整えてくれます。
1-5. 「行くか迷っている人」へ伝えたい厄払いのメリットと限界
「厄払いに行った方がいいのは分かるけど、本当に意味あるのかな?」と迷っている人も多いと思います。まず知っておきたいのは、厄年と災難に科学的な因果関係が証明されているわけではない、という点です。厄払いを受けたからといって、すべてのトラブルが魔法のように消えるわけでもありませんし、逆に受けなかったからといって必ず悪いことが起きるわけでもありません。
それでも、多くの人が厄払いに行くのには理由があります。一つは、心理的な安心感です。「ちゃんと祈祷を受けた」という経験そのものが心の支えになり、「あとは自分ができることをしよう」と前向きに生活しやすくなります。もう一つは、人生を見直すきっかけになることです。静かな社殿や本堂の中で、神職や僧侶の祝詞・お経を聞いていると、自然と「この一年をどう過ごしたいか」を考える時間になります。
ただし、厄払いだけに頼ってしまうと、「また何か起きたらどうしよう」「やっぱりまだ足りないんじゃないか」と不安がふくらんでしまうこともあります。大切なのは、「厄払い=自分や家族を大事にするスイッチ」として使うことです。祈祷をきっかけに、睡眠時間を増やす、暴飲暴食を控える、運転に気をつける、人間関係のストレスを減らすなど、日常の行動を少しずつ整えていくことが、結果的にはいちばん確かな厄除けになります。
2. 岩手で人気の厄払いスポット5選【神社・お寺】
※ここで紹介する情報は、2025年11月時点での公式サイトや公的な観光情報をもとにまとめています。初穂料や受付時間は変更される場合があるため、実際に参拝する前に必ず最新の情報を公式サイトや電話で確認してください。
2-1. 盛岡八幡宮(盛岡市)岩手を代表する厄払いの定番スポット
盛岡市八幡町に鎮座する盛岡八幡宮は、第29代南部重信公によって延宝8年(1680年)に創建されたとされる歴史ある神社です。「城下町盛岡とともに300年」という言葉でも知られ、初詣や七五三、結婚式など、年間を通して多くの人が訪れます。岩手で「どこで厄払いしようか」と迷ったとき、最初の候補に挙がることが多い定番の場所です。
境内には立派な楼門や拝殿、境内社がならび、参道を歩くだけでも清々しい気持ちになります。ご祈祷は通年で受け付けており、厄除・厄払い、家内安全、商売繁盛、交通安全など、さまざまな願いごとに対応しています。公式サイトには御祈祷の案内ページがあり、予約フォームやお守り郵送の案内も用意されているので、遠方の人や忙しい人でも利用しやすいのが特徴です。
アクセスは、JR盛岡駅からバスで約15分、「八幡宮前」バス停から徒歩すぐ。車の場合も、周辺に駐車場が複数あり、ナビで行きやすい場所です。祈祷の受付時間はおおむね9:00〜17:00ごろと案内されていますが、大きな祭典やシーズンによって変わることもあるため、事前に確認してから出かけると安心です。
2-2. 櫻山神社(盛岡市)烏帽子岩で知られる厄除けのパワースポット
盛岡城跡公園の一角に鎮座する櫻山神社は、社殿の背後にそびえる巨大な「烏帽子岩(えぼしいわ)」で有名な神社です。この岩は南部藩の時代から「お守り岩」とも呼ばれ、城下町盛岡の守り神のような存在として信仰されてきました。
櫻山神社では、個人の厄祓い・八方除祈願を通年で受け付けています。公式サイトによると、厄祓い・八方除祈願の初穂料は1名10,000円、ご祈祷時間は9:00〜16:00頃まで、所要時間は約20分(受付を含めると30分ほど)が目安とされています。申し込みは電話予約が推奨されており、「都合のよい日時をあらかじめ連絡してください」と案内されています。なお、金額や受付時間は将来的に変更される可能性があるため、参拝前に最新情報を必ず確認しておきましょう。
ご祈祷が終わったあと、多くの人は烏帽子岩の前にも手を合わせます。雪の季節には岩と社殿、城跡公園の木々がうっすらと白く染まり、静かな空気の中で「厄が清められていく」ような感覚になる人も少なくありません。盛岡中心部から歩いて行ける立地で、周辺には飲食店や観光スポットも多いので、「厄払いと街歩き」を一緒に楽しむのにぴったりの場所です。
2-3. 志和古稲荷神社(紫波町)ご祈祷が評判の「志和のおいなりさん」
紫波郡紫波町にある志和古稲荷神社は、地元では「志和のおいなりさん」「志和稲荷」と呼ばれて親しまれている稲荷神社です。正式名称は「志和古稲荷神社」ですが、観光ガイドや地元の会話では略して呼ばれることが多く、「志和稲荷」と書かれていても同じ神社のことです。
公式サイトによると、ご祈祷は8:00〜17:00のあいだで受け付けており、主な願意として家内安全・商売繁盛・交通安全・五穀豊穣・海上安全などが挙げられています。人生の節目としてのご祈祷の中に「厄年払い」も明記されていて、厄払いの場としてもよく利用されていることが分かります。時間外の祈祷を希望する場合は、事前予約で対応してもらえると案内されています。
境内には朱色の鳥居や社殿がならび、季節ごとに周囲の山々の景色が変わっていく様子も楽しめます。冬には、朱色と雪のコントラストが美しく、厳かな雰囲気の中で「今年一年を無事に過ごせますように」と手を合わせる時間は、心を落ち着かせてくれます。盛岡市街から車で30分前後とアクセスも良く、近くには温泉施設もあるので、「ドライブ+厄払い+温泉」というコースを組むこともできます。
2-4. 陸中一宮 駒形神社(奥州市)ひょうたんに厄を封じる神社
奥州市水沢の水沢公園内に鎮座する陸中一宮 駒形神社は、その名のとおり古くから陸中国一宮として崇敬されてきた神社です。境内は緑が多く、春は桜、夏は深い緑、秋は紅葉、冬は雪景色と、四季折々の美しさが楽しめます。
駒形神社の公式サイトでは、ご祈祷の受付時間を「午前9時半〜午後4時半」と案内しており、家内安全・交通安全・必勝祈願・厄年祓いなど、さまざまな願いごとの祈祷を通年で受け付けています。御祈祷料は、個人祈祷の場合「7,000円、8,000円、10,000円、15,000円以上」となっていて、その中に厄年祓いも含まれます。七五三詣は5,000円以上、ランドセル祈願は3,000円以上、団体祈祷や会社祈祷には別の設定があります。なお、令和6年4月に初穂料の改定が行われており、今後も内容が変わる可能性があるため、参拝前に必ず最新の金額を確認しておきましょう。
この神社の特色ある授与品として知られているのが、「ひょうたん」のお守りです。一度中に入ったものは外に出にくい形から、ひょうたんには厄や災いを封じ込める力があるとされ、「厄難封じひょうたん」として授与されています。厄払いの祈祷を受けたあと、このひょうたんを玄関や部屋に掛けておき、「これから先の厄はここに預けてしまおう」と気持ちを切り替える人も多いそうです。
2-5. 中尊寺・毛越寺(平泉町)世界遺産の地で心を整える厄払い参拝
世界遺産「平泉」の中心となる中尊寺と毛越寺は、どちらも厄除けや家内安全などのご祈祷を行っている寺院です。
中尊寺では、不動堂で厄除開運や身体健全、家内安全などを願う「新春祈祷」が行われており、例年1月1日〜8日の期間に不動堂で護摩祈祷が営まれます。志納金は5,000円からと案内されていて、公式サイトの専用フォームやFAX用紙を使って申し込み、当日参拝して祈祷を受ける方法のほか、お札を郵送で受け取る申し込み方法も用意されています。「平泉までは少し遠いけれど、中尊寺でお札をいただきたい」という人には、とてもありがたい仕組みです。
一方、毛越寺は池泉回遊式の浄土庭園で知られ、本尊の薬師如来の前で身体健康・厄除・家内安全・交通安全などのご祈祷が行われています。毎年1月20日前後には「二十日夜祭」が行われ、厄年の老若男女がたいまつを持って常行堂まで行列し、無病息災や家内安全を祈願します。これは年に一度の特別な行事ですが、通常の厄除け祈祷は通年で受けることができます。
中尊寺・毛越寺ともに、静かな雰囲気の中で手を合わせることができる場所です。厄払いを受けたあと、庭園や参道をゆっくり歩きながら一年の計画を考えたり、自分の心とじっくり向き合ったりする時間をつくると、特別な一日になるはずです。
3. はじめてでも安心!厄払い当日の流れとマナー
3-1. 予約は必要?岩手の神社・お寺での申し込みのコツ
はじめて厄払いに行くとき、多くの人が気になるのが「予約が必要なのかどうか」です。岩手の寺社では、「予約優先+当日受付」というスタイルをとっているところが多く、特に正月〜節分の時期や大安の土日祝日は混み合います。
櫻山神社では、厄祓い・八方除祈願について「ご都合のよろしい日時をお電話にてお知らせください」と案内しており、あらかじめ予約してから行く形が基本になっています。 駒形神社でも御祈祷の受付時間は9:30〜16:30とされていますが、神社祭儀と重なる場合があるため、日時の確認をすすめる記載があります。
申し込みのコツとしては、次のような流れを意識するとスムーズです。
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行きたい神社・お寺を決める
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公式サイトで「ご祈祷」「厄祓い」などのページを探し、受付時間・予約方法・初穂料を確認する
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不明点があれば電話で、「厄年なので厄払いをお願いしたいのですが、予約は必要ですか?」と聞く
公式サイトに金額や時間が書いてあっても、将来的に変わる場合があります。「古い情報のまま行ってしまった」とならないよう、できれば電話で一度確認しておくと安心です。
3-2. 当日の服装・持ち物リストと受付までの流れ
服装は、「きれいめで落ち着いた日常着」をイメージすると失敗しにくいです。スーツやジャケットスタイルで行く人も多いですが、そこまでかしこまらなくても、シンプルなトップスと長ズボン・スカートなど、清潔感のある服装であれば問題ありません。派手すぎる色や大きなロゴ、露出の多い服は避けた方が無難です。
岩手の冬はとても寒いので、厚手のコートやマフラー、手袋はほぼ必須です。ただし、拝殿や本堂の中に入るときは、状況を見てコートを脱いだ方が礼儀正しいとされることが多いです。靴を脱いで上がるスタイルの寺社もあるため、靴下やストッキングに穴が開いていないか、事前にチェックしておきましょう。
持ちものは、次のようなものを準備しておくと安心です。
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祈祷料を入れたのし袋(または白い封筒)
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ハンカチ・ティッシュ
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予約をした場合はメモ(日時・人数など)
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事前にダウンロードして記入した申込用紙があればそれも持参
当日は、まず手水舎で手と口を清めてから社務所や寺務所に向かい、「厄払いをお願いしたいのですが」と声をかけます。申込用紙に氏名・住所・生年月日・祈願内容などを記入し、のし袋に入れた祈祷料を渡すと、待合室か控室に案内されます。そのあと、順番が来たら案内に従って本殿・本堂へ進み、ご祈祷を受ける流れです。
3-3. ご祈祷中の作法:座り方・頭を下げるタイミング・拍手の仕方
ご祈祷の作法は、「完璧に覚えなきゃ」と力を入れすぎる必要はありません。基本的には、神職・僧侶や周りの人の動きを見てまねすれば大丈夫です。
神社の場合は、案内された席に座り、祝詞が始まったら軽く頭を下げて静かに耳を傾けます。椅子が用意されている場合もありますし、畳に座る場合は正座がつらければ足を崩して座っても構いません。玉串奉奠を行うときは、係の人が順番ややり方を教えてくれるので、その通りに進めれば問題ありません。最後は「二礼二拍手一礼」の形でお参りします。
お寺のご祈祷では、合掌と礼が中心になります。僧侶のお経が響いている間は、静かに手を合わせ、自分や家族の健康・安全を心の中で祈ります。途中で「南無○○」などの唱和を求められることもありますが、周りの人の声に合わせて小さな声で唱えれば十分です。分からない場合は、無理に声を出そうとせず、静かに手を合わせているだけでも失礼にはあたりません。
どちらの場合も、スマホを触ったり、写真を撮ったりするのは厳禁です。ご祈祷中は、神さま・仏さまに向き合う時間として静かに過ごしましょう。
3-4. 初穂料・祈祷料の目安と「のし袋」の書き方
祈祷料はいくらぐらい用意すればいいのか、多くの人が悩む部分です。全国的な相場としては、厄払いの祈祷料は3,000〜10,000円程度が多いとされていますが、実際には神社やお寺ごとに金額が決まっていることが少なくありません。
たとえば櫻山神社では、厄祓い・八方除祈願の初穂料を一件10,000円と明記していますし、駒形神社では個人祈祷を7,000円・8,000円・10,000円・15,000円以上としています。七五三など別メニューには別の金額設定がある場合もあります。このように、相場よりも各社寺の公式情報の方が優先されるので、「○○神社 厄払い 初穂料」などで必ず確認しておきましょう。
のし袋は、紅白の水引がついたものを使うのが一般的です。表面の上段に「初穂料」または「玉串料」、下段に申込者のフルネームを書きます。中袋がある場合は、金額と住所・氏名を中袋に記入し、お札の向きをそろえて入れます。のし袋が用意できない場合は、白い封筒に「初穂料」と氏名を書いても構いません。受付では、封筒を両手で持ち、相手から文字が読める向きにして差し出せば丁寧な印象になります。
3-5. もらったお札・お守りはどうする?家・車・職場でのまつり方
ご祈祷のあとには、多くの場合、お札やお守り、破魔矢などを授与してもらいます。「これはどこに置けばいいの?」と迷う人も多いですよね。
お札は、家の中でもっとも落ち着いた場所に、目線より少し高い位置でまつるのが基本です。神棚がある場合はそこに、ない場合はリビングの棚の上やタンスの上など、清潔で人の出入りが激しくない場所に置きます。向きは東向きか南向きがよいとされますが、部屋の都合で難しい場合は、無理にこだわらなくても大丈夫です。大切なのは、「きれいな場所で、日常的に感謝を伝えられる位置」にまつることです。
車の安全祈願のお札やステッカーは、運転のじゃまにならない位置に貼ったり置いたりします。フロントガラスやダッシュボード周り、サンバイザーの裏などがよく選ばれます。お守りは、かばんや財布、スマホケースなど、日常的に持ち歩くものにつける人が多いですが、汚れやすい場所や落としやすい位置は避けた方が安心です。
一年ほどたったお札やお守りは、次の正月や節分のタイミングで、頂いた神社やお寺、または近くの寺社の古札納所に納めて焼納してもらうのが一般的です。そのときは、「一年間ありがとうございました」と感謝の気持ちで手を合わせ、新しい年のお札やお守りを受けるかどうかは、そのときの自分の気持ちに合わせて選びましょう。
4. いつ行く?いくらかかる?岩手の厄払いQ&A
4-1. 厄払いはいつまでに行けばいい?元旦〜節分・節目ごとの考え方
「厄払いは節分までに行った方がいい」という話をよく聞きますが、これは「新しい年の始まりに合わせて祈祷を受けると区切りがつけやすい」という考え方から来ています。多くの神社やお寺では、正月から節分前後にかけて厄払いの祈祷が集中し、この時期を一つの目安としています。櫻山神社でも「年が改まる1月初め〜2月下旬頃までに受けるのがよい」といった案内がされています。
とはいえ、「節分を過ぎたら厄払いができない」というわけではありません。実際には、盛岡八幡宮や志和古稲荷神社、駒形神社、中尊寺・毛越寺など、多くの寺社が一年を通して厄除・厄払いの祈祷を受け付けています。 仕事や家庭の都合で新年に動けない人は、「自分の予定が落ち着くタイミング」で受ければ大丈夫です。
また、「誕生日を迎える前後」「転職や引っ越しの前」「結婚・出産の前後」など、自分の中での節目に合わせて厄払いを受ける人もいます。大切なのは、「このタイミングで気持ちを切り替えたい」と自分自身が納得できるかどうかです。
4-2. 家族や友だちと一緒に受けてもOK?同席マナーと注意点
厄払いは、一人で静かに受けてもいいですし、家族や友だちと一緒に受けても構いません。岩手では、「本人が本厄で、その配偶者や子ども、両親が一緒に同席する」「兄弟姉妹で同じ年に厄年になったので、一緒に行く」といった形もよく見られます。
櫻山神社のご祈祷案内では、一件10,000円の祈祷料に対し、「ご家族の方はお一人1,000円を納めると一緒にご祈祷を受けられ、お守りが授与されます」といったルールが記載されています。このように、本人と同席者で扱いが分かれていることもあるため、「誰が祈祷の対象で、誰が付き添いなのか」をはっきりさせたうえで申し込むことが大切です。
ご祈祷中は、同席者も含めて私語やスマホ操作は控えます。小さな子どもを連れて行く場合は、ぐずったときにすぐ外に出られるよう、入り口近くに座らせてもらうなど、あらかじめ神社に相談しておくと安心です。友だち同士で行く場合も、記念写真はご祈祷が終わってから、他の参拝者のじゃまにならない場所で撮るように心がけましょう。
4-3. 同じ年に2回以上受けてもいいの?受け直しを考えるとき
「年始に厄払いを受けたのに、そのあと大きなケガや病気をしてしまった。また受け直した方がいいのだろうか」と悩む人もいます。同じ年に2回以上厄払いを受けてはいけない、という決まりはありませんが、何度も繰り返すと、かえって不安が増えてしまうこともあります。
もし「もう一度気持ちを整えたい」と感じたら、受付で正直に事情を話したうえで、再度祈祷をお願いしても構いません。そのうえで、「厄払いを受けたから大丈夫」と考えるのではなく、「この出来事をきっかけに、生活のリズムや働き方、運転の仕方を見直してみよう」と考えることが大切です。神社本庁の説明などでも、厄年は「自らを慎み、節制するきっかけ」として位置づけられており、神頼みだけでなく自分の行動も合わせて整えることが重要だとされています。
4-4. 妊娠・出産と厄年が重なったときの考え方と岩手での受け方
女性の厄年は、19歳・33歳・37歳・61歳とされることが多く、ちょうど結婚・妊娠・出産と重なりやすい年齢でもあります。「妊娠中でも厄払いに行っていいのか」「赤ちゃん連れで行っても大丈夫なのか」と不安になる人もいるでしょう。
多くの神社やお寺では、妊婦さんや赤ちゃん連れにも配慮した形でご祈祷を行っています。盛岡や平泉の寺社でも、安産祈願や初宮詣などを日常的に受け付けているため、妊娠中に厄年を迎えても、体調が許す範囲で参拝することは十分可能です。心配な場合は予約の電話の際に、「妊娠中で長時間座るのは難しいかもしれません」と伝えておけば、椅子席にしてもらうなど、できる範囲で配慮してもらえます。
どうしても本人が出向くのが難しい場合は、家族に代理で参拝してもらう「代理祈祷」や、お札を郵送してもらう「郵送祈祷」を利用する選択肢もあります。中尊寺の新春祈祷のように、インターネットやFAXで申し込み、お札を郵送などで受け取れる仕組みを整えている寺院もあります。無理をせず、「自分と赤ちゃんの体調を最優先にしながら、できる範囲で厄払いを活用する」というスタンスが一番大切です。
4-5. 現地に行けないときは?郵送祈祷・代理参拝という選択肢
遠方に住んでいたり、仕事や介護・育児の都合でなかなか外出できなかったりして、「どうしても現地の神社やお寺まで行けない」という人もいます。その場合に知っておきたいのが、「郵送祈祷」や「代理参拝」という方法です。
郵送祈祷は、申込書やオンラインフォームから願いごとと住所・氏名などを送り、神職・僧侶が社殿や本堂でご祈祷をしたうえで、お札やお守りを自宅に送ってくれる仕組みです。中尊寺の新春祈祷では、5,000円・10,000円・30,000円といった志納金を選び、郵送でお札を受け取ることができるようになっています。
代理参拝は、家族や友人が本人の代わりに寺社に出向き、本人の名前と生年月日を書いた申込用紙を持ってご祈祷を受けるスタイルです。岩手でも、家族がまとめて祖父母や子どもの分まで祈祷してもらうケースは珍しくありません。
このように、「自分の足で行けないから何もできない」というわけではないので、自分や家族の状況に合う形で、無理なく厄払いを取り入れてみてください。
5. 厄をためない暮らし方と、岩手ならではの楽しみ方
5-1. 厄払いと一緒に回りたい岩手の開運スポット&パワースポット
厄払いをきっかけに、周辺の開運スポットも一緒に回ると、小さな「開運旅」になります。盛岡八幡宮や櫻山神社のある盛岡市内には、盛岡城跡公園や北上川沿いの散歩道、材木町の通りなど、ゆっくり歩ける場所がいくつもあります。厄払いを受けたあと、川沿いのベンチに座って一年の目標を書き出してみると、心の中が少し整理されていく感覚があるはずです。
平泉エリアでは、中尊寺・毛越寺に加えて、岩壁の洞窟に本堂が建てられたような「達谷窟毘沙門堂」など、印象的な寺院・神社が点在しています。これらを組み合わせて巡ることで、「歴史」「自然」「信仰」が一度に味わえる一日になります。
パワースポット巡りで大切なのは、「有名かどうか」よりも「自分が行って気持ちよかったかどうか」です。同じ場所でも、人によって受け取る印象は違います。岩手のように自然が豊かな土地では、神社仏閣だけでなく、静かな森や川辺、公園なども十分に心の落ち着く場所になります。自分にとって心地よい場所を少しずつ増やしていくことが、長い目で見れば一番の開運行動かもしれません。
5-2. 温泉天国・岩手で「厄落とし」リセット旅を楽しむアイデア
岩手といえば、やはり温泉も外せません。盛岡からアクセスしやすいつなぎ温泉・鶯宿温泉、花巻温泉郷、遠野周辺の温泉など、それぞれに個性豊かな湯と宿があります。厄払いを受けたあとに温泉につかると、「悪いものが全部お湯と一緒に流れていくような気がした」という声もよく聞きます。
一日のモデルコースを考えるなら、たとえば次のような流れもおすすめです。
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午前:盛岡八幡宮か櫻山神社で厄払い
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昼 :盛岡冷麺やじゃじゃ麺など、地元グルメを楽しむ
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午後:つなぎ温泉や鶯宿温泉に移動してチェックイン
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夕方〜夜:温泉でゆっくり温まりながら、今年の目標ややりたいことを書き出す
平泉・奥州方面なら、駒形神社や中尊寺・毛越寺で厄払いを受けたあと、周辺の温泉地に泊まり、翌日は観光やカフェ巡りを楽しむ、というプランも組めます。観光協会や旅行サイトには「開運・パワースポット」をテーマにしたモデルコースが紹介されていることもあるので、それを参考にしながら、自分なりの「厄落とし旅」をデザインしてみてください。
5-3. 日常でできる「厄を寄せつけにくい」習慣と考え方
厄払いを受けたあと、どんなふうに日常を過ごすかもとても重要です。どれだけ立派なご祈祷を受けても、毎日無理を続けていれば、体調を崩したり事故に遭ったりするリスクは高いままです。
まず意識したいのは、「無理をしすぎない」こと。残業続きや睡眠不足が続くと、判断力や注意力が落ちます。厄年はもともと、体力や環境が変わりやすい年齢を指しているので、「自分をいつも以上に大事にする」くらいでちょうどいいのです。
次に、「身の回りを整える」習慣をつくってみましょう。部屋が散らかっているときは、心の中も何となくざわざわしがちです。神社やお寺の境内がいつも清潔に整えられているように、自宅や職場の机の上も、こまめに片づけておくと気持ちが落ち着きます。いらないものを手放すことで、新しいチャンスや人間関係が入りやすくなる、と考えることもできます。
最後に、「感謝の言葉を増やす」ことも、厄を寄せつけにくい生活につながります。家族や同僚、お店の店員さんに対して、「ありがとう」と伝える回数が増えると、人間関係の雰囲気がやわらぎます。結果としてストレスが減り、それだけでも十分な「厄除け」になっていきます。
5-4. 御朱印・写真・SNS投稿で気をつけたいマナー
厄払いに行った記念に御朱印をいただいたり、写真を撮ってSNSに投稿したりする人も多いですよね。楽しい反面、知らずにマナー違反になってしまうこともあるので、いくつかのポイントを押さえておきましょう。
御朱印は「参拝の証」であり、「スタンプラリーのスタンプ」ではありません。まず本堂・本殿でお参りをしてから、社務所や寺務所で「御朱印をお願いします」と一言添えてお願いしましょう。書いてもらっている間は、スマホをいじらずに静かに待つのが礼儀です。
写真撮影については、境内全体や参道は撮影OKでも、本殿・本堂の中やご祈祷中の様子は撮影禁止のことが多いです。中尊寺や毛越寺などでも、堂内での撮影には制限があります。迷ったときは、案内板や注意書きを確認するか、近くの係の人に「ここは写真を撮っても大丈夫ですか」と聞くと安心です。
SNS投稿をするときは、他の参拝者の顔がはっきり写っている写真を避ける、場所を特定されたくない人が一緒に写っている場合は確認を取るなど、プライバシーへの配慮も忘れないようにしましょう。「自分がされたらどう感じるか」という視点で考えれば、自然とマナーの良い投稿になっていきます。
5-5. 自分に合った岩手での厄払いスタイルを見つけよう
ここまで、厄年の基本、岩手の代表的な厄払いスポット、当日の流れやマナー、日常でできる心がけまで、一通り見てきました。
厄年は、「怖い年」ではなく、「体や環境が変わりやすいからこそ、自分を丁寧に扱うべき年」ととらえることができます。盛岡八幡宮や櫻山神社、志和古稲荷神社、陸中一宮・駒形神社、中尊寺や毛越寺など、岩手には頼りになる神社仏閣がたくさんあります。それぞれ、街中の便利さが魅力だったり、山あいの静けさが魅力だったり、世界遺産ならではの特別感があったりと、雰囲気や特徴が異なります。
大切なのは、「みんなが行くから」ではなく、「自分や家族にとって行きやすく、落ち着ける場所」を選ぶこと。そして、厄払いをきっかけに、生活リズムや考え方、人との関わり方を少しずつ整えていくことです。厄払いそのものに、すべてのトラブルを消し去る科学的な効能があるわけではありませんが、「今年は自分の体と心を大事にしよう」と意識を切り替えるきっかけとして活用することで、結果的に事故や病気のリスクを減らすことにつながります。
岩手の自然や歴史、温泉も味方につけながら、自分にぴったりの厄払いスタイルを見つけて、安心して一年をスタートさせてください。
まとめ
厄年は、男性では数え年で25歳・42歳・61歳、女性では19歳・33歳・37歳(・61歳)とされることが多く、さらに1歳・4歳・7歳・10歳・13歳・16歳などを子どもの節目とする考え方もあります。ただし、これらは全国共通の絶対的な決まりではなく、神社や地域によって多少の違いがあります。共通しているのは、「体や環境が変わりやすい年齢だからこそ、いつも以上に慎重に、ていねいに暮らそう」という意識を持つための目安だということです。
岩手には、盛岡八幡宮・櫻山神社・志和古稲荷神社・陸中一宮 駒形神社・中尊寺・毛越寺など、厄払いで頼れる寺社が数多くあります。それぞれの公式サイトでは、受付時間や初穂料、ご祈祷の流れなどが案内されており、事前に目を通しておけば、初めてでも安心して参拝できます。
当日は、落ち着いた服装で出かけ、手水で手と口を清めてから社務所・寺務所へ向かい、申込用紙の記入と初穂料の奉納をすませます。ご祈祷中は、神職・僧侶や周りの人の動きに合わせて頭を下げ、静かに手を合わせていれば十分で、難しい作法を完璧に覚える必要はありません。授与されたお札やお守りは家や車に大切にまつり、翌年には感謝とともにお返しする、というサイクルを繰り返すことで、暮らしのリズムも整っていきます。
そして何より大切なのは、厄払いをきっかけに「自分を大事にする一年にしよう」と決めることです。睡眠や食事、仕事のペース、人間関係の付き合い方を少しずつ整えていくことで、長い目で見ればそれが一番の厄除けになります。岩手の神社仏閣や温泉、自然の力を借りながら、不安を少し軽くして、自分らしく一年を歩んでいきましょう。


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