栃木の厄払いの基本知識

栃木で厄払いをしようと思ったとき、「佐野厄除け大師が有名って聞くけれど、他にはどんな場所があるの?」「神社とお寺はどちらを選ぶべき?」「そもそも厄年って何歳が対象なの?」と、気になることがいくつも出てきます。
この記事では、栃木県内で厄払いができる代表的な寺社を、2025年11月時点の情報にもとづいてわかりやすく紹介します。佐野厄除け大師・宇都宮二荒山神社・日光二荒山神社・古峯神社・大前神社(大前恵比寿神社)など、それぞれの特徴や受付時間、初穂料の目安に加えて、厄年の考え方や数え年の計算方法、当日の流れや服装、持ち物、お札・お守りの扱い方まで、一通り押さえられるようにまとめました。
さらに、厄払いと一緒に楽しめる佐野ラーメンや宇都宮餃子、鹿沼のニラそば、世界遺産・日光の社寺など、栃木ならではのグルメや観光スポットも紹介しています。「今年こそしっかり厄払いをしておきたい」「せっかくなら一日を存分に楽しみたい」という人は、ぜひ最後まで読んで、自分に合った厄払いプランをイメージしてみてください。
厄年ってなに?男女別の年齢と数え方
厄年というのは、昔から「人生の節目として特に気をつけたほうがいい」とされてきた年齢のことです。体の変化や環境の変化が重なりやすい年をまとめてそう呼び、「この時期はいつもより慎重に過ごしましょう」という目安として使われてきました。
現在よく使われているのは、神社本庁などで紹介されている「一般的な厄年」です。数え年で考えたときの本厄は、おおむね次のようになっています。
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男性:25歳・42歳・61歳(42歳が大厄)
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女性:19歳・33歳・37歳・61歳(33歳が大厄とされることが多い)
前の年を「前厄」、次の年を「後厄」と呼ぶので、実際には3年間を通して注意する、というイメージです。ここで使われている「数え年」は、生まれた年を1歳とし、元日を迎えるごとに1歳ずつ年を取る数え方です。計算するときは「西暦のその年 − 生まれた年 + 1」と覚えておけばだいたい合います。
ただし、これはあくまで全国的に広く使われている目安です。地域や神社・お寺によっては、少し違う年齢を厄年として掲げていることもあります。この記事では上の年齢を基準に説明しますが、実際に参拝するときは、行く予定の寺社が出している厄年表も合わせて確認しておくと安心です。
厄払いと厄除けの違いと、実際の使われ方
厄に関する言葉として、「厄払い」と「厄除け」があります。もともとの説明としては、次のような違いがよく言われます。
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厄払い:すでについてしまった災いや穢れを祓い清めること
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厄除け:これから起こるかもしれない災いを寄せつけないように守ってもらうこと
とはいえ、実際の現場では、厳密に使い分けられているわけではありません。神社の案内に「厄除祈願」と書いてあったり、お寺で「厄払い」「厄除け祈祷」などさまざまな表現が使われていたりしますが、どれも「災いを遠ざけて無事に過ごせるよう祈る」という点では共通しています。
儀式の流れも、祝詞やお経をあげてもらい、名前を読み上げてもらい、お札やお守りを授与してもらうという点でほとんど同じです。細かい言葉の違いよりも、「自分の不安や願いをきちんと預けられそうか」「その寺社に信頼感を持てるか」といった感覚のほうが大事です。
どちらの言葉を使っていても、「厄が気になっているから一度きちんとお祓いしてもらおう」という気持ちで申し込めば十分です。
いつ行くのがいい?元日〜節分と通年受付の話
厄払いというと「お正月から節分のあいだに行くもの」というイメージが強いかもしれません。これは、厄年を数え年で考えていて、「新年を迎えたタイミングで年齢が一つ増える」とする考え方とつながっています。新しい年のはじまりに、その一年の無事を祈るため、多くの人がこの時期に厄除けの祈祷を受けるのです。
実際、栃木県内でも、1月から2月にかけて「厄除大祭」「星祭」「厄除け特別祈祷」などの行事を集中して行う寺社が多くあります。佐野厄除け大師や宇都宮二荒山神社、日光二荒山神社などでは、年末年始の特別日程が組まれることもあり、三が日から節分前後までは特に混雑します。
一方で、厄払いの祈祷そのものは、多くの寺社で一年中受け付けています。たとえば佐野厄除け大師や古峯神社、大前神社などでは、通年で厄除け・方位除けの祈祷を行っています。元日〜節分の期間に行けなかったからといって、厄払いができなくなるわけではありません。
むしろ、混雑を避けて少し落ち着いた時期に行ったほうが、じっくりと自分の気持ちと向き合える、という人も多いです。「気になったときが行きどき」と考え、自分や家族の予定に合わせて無理のない日を選ぶのがいちばんです。
神社とお寺どっちに行く?選び方のコツ
栃木には、厄除けで有名な天台宗のお寺もあれば、地域の守り神として信仰されてきた神社もあります。「神社とお寺、どちらに行くのが正解なのか」と迷うことも多いですが、結論から言えばどちらを選んでもかまいません。
神社は神さまをまつる場所、お寺は仏さまをまつる場所ですが、「災いを遠ざけ、家族や自分の無事を祈る」という意味では共通しています。厄払い・厄除けの祈祷も、神社・お寺の両方で行われています。
選ぶときのポイントとしては、まず「ご縁があるかどうか」が挙げられます。子どものころから初詣や七五三でお世話になっている神社、家の仏壇とつながりのある宗派のお寺などがあれば、そこを選ぶのが自然です。
次に、「通いやすさ」も大切です。自宅や実家からの距離、車の有無、電車やバスの便、駐車場の広さなどを考えると、年をまたいだお参りもしやすくなります。
さらに、「雰囲気が自分に合っているか」も重要です。佐野厄除け大師のように多くの人でにぎわう場所が好きな人もいれば、古峯神社のように山奥で静かに過ごせる場所のほうが落ち着く人もいます。どちらが正しいということはないので、「ここなら素直に手を合わせられそうだ」と感じる寺社を選んでみてください。
「行かないとどうなるの?」よくある不安への答え
「厄年なのに厄払いに行かないと、何か悪いことが起きるのではないか」と不安に感じる人も多いと思います。ただ、厄年はあくまで昔からの経験にもとづいた「注意の目安」であって、行かなかったからといって必ず不幸が起きる、というものではありません。
一方で、厄払いに行くことで得られる安心感もたしかにあります。神社やお寺で名前を読み上げてもらい、お札やお守りを受け取ると、「ちゃんとお願いしたから大丈夫」という気持ちが生まれます。その安心感が、日々の生活で余計な不安に振り回されないための支えになることもあります。
大事なのは、「厄払いをしたから何をしても大丈夫」という考え方ではなく、「これをきっかけに生活や健康を見直そう」という姿勢です。健康診断を受ける、睡眠時間を確保する、無理な働き方をしていないか振り返るなど、自分でできる努力と組み合わせてこそ意味が出てきます。
「行かないことがずっと頭の片すみに引っかかってしまいそうだ」と感じるなら、一度参拝して区切りをつけるのも良い選択です。逆に、あまり気にしない性格なら、無理に予定を詰め込まず、自分のペースで受け止めてかまいません。
栃木で人気の厄払いスポット
佐野厄除け大師(惣宗寺)の特徴と祈願料の目安【2025年11月時点】
栃木県で厄除けといえば、まず名前が挙がるのが佐野市の「佐野厄除け大師(惣宗寺)」です。正式名称は「春日岡山 転法輪院 惣宗官寺」という天台宗の寺院で、平安時代・天慶7年(944年)創建と伝わっています。関東では川越大師・青柳大師と並び「関東三大師」に数えられ、厄除けの名所として広く知られています。
本堂を中心とした境内は、正月の時期には多くの参拝者であふれ、参道から外の道路まで行列が続くこともあります。普段の時期(おおむね2月〜12月)のご祈祷受付時間は、朝8時20分ごろから夕方16時40分ごろまでが一つの目安とされています。年末年始や特別な行事の期間は時間が変わるため、その年の最新案内を必ず確認してから出かけるようにしてください。
個人の厄除け祈願料は、3,000円前後からで、一般的には5,000円や1万円など、いくつかの金額区分が用意されています。金額によってお札の大きさや授与品の内容が変わることはありますが、「この金額を選べばご利益が倍増する」といったものではありません。自分の気持ちや家計の状況に合わせて、無理のない範囲の金額を選べば十分です。金額の細かい区分や内容は年度ごとに見直されることもあるので、「3,000円から数万円程度までいくつかの選択肢がある」と理解しておき、最終的な数字は公式案内で確認するのが安全です。
混雑を避けたい場合は、正月三が日を外し、1月の平日や2月以降の週末を狙うのがおすすめです。また、佐野厄除け大師では、遠方の人向けに郵送での祈祷申込にも対応しています。専用の申込方法にしたがって依頼すると、寺院側で厄除けのご祈祷を行い、お札やお守りを自宅に郵送してもらうことができます。
宇都宮二荒山神社での厄払いの流れ【2025年11月時点の目安】
宇都宮市の中心部、馬場通り沿いの高台に鎮座しているのが「宇都宮二荒山神社」です。豊城入彦命をまつる神社で、下野国一之宮、宇都宮の総鎮守として古くから信仰されています。大きな石段と鳥居が街のシンボル的存在になっていて、初詣や七五三、合格祈願などでも多くの人が訪れます。
ご祈祷の受付時間は、公式案内では日中の時間帯(おおむね9時〜16時ごろ)とされています。具体的な時間設定は季節や行事によって変更されることもあるため、「午前〜夕方のあいだに受付・ご祈祷が行われている」と押さえたうえで、出かける前に最新の案内を確認するのが確実です。初穂料は個人の場合5,000円以上が目安で、厄除けに家内安全や交通安全などをあわせてお願いすることもできます。
当日の流れとしては、まず社務所で申込用紙を受け取り、氏名・住所・生年月日・願いごとの種類などを書き、初穂料を納めます。その後、待合所で順番を待ち、時間になったら祈祷殿に案内されます。祝詞奏上やお祓い、玉串拝礼などの神事に参列し、最後にお札やお守りを受け取って終了です。所要時間は、受付から授与品の受け取りまで合わせて30〜60分ほどを見ておくと安心です。
JR宇都宮駅からバスや徒歩で行きやすく、参拝の前後には「餃子のまち」として知られる宇都宮の市街地で餃子を味わう楽しみもあります。街中の利便性と神社らしい落ち着いた空気を両方感じられるスポットです。
世界遺産エリアの日光二荒山神社で厄払い
日光市の山内にある「日光二荒山神社」は、日光連山の神々をおまつりする神社で、日光東照宮・日光山輪王寺とともにユネスコ世界遺産「日光の社寺」を構成する重要な社の一つです。この世界遺産は、1999年12月の世界遺産委員会で登録されて以来、日本を代表する観光地として国内外から多くの旅行者が訪れています。
日光二荒山神社のご祈祷は、山内の本社のほか、中禅寺湖畔の中宮祠などでも行われています。受付時間は場所や季節によって変わりますが、一般的には午前9時ごろから午後4時ごろまでのあいだで随時受け付けている、という案内になっています。祈祷料は5,000円からのことが多く、安産祈願などでは5,000円・8,000円・10,000円といった区分が示されている例もあります。いずれも所要時間は15〜20分程度が目安です。
厄除けや方位除けのご祈祷も、流れとしては同じような時間感覚で行われます。申し込みの際には、氏名や住所、生年月日などを記入し、初穂料を納めます。ご祈祷の前後には、日光東照宮や輪王寺をあわせて巡る人も多く、「厄払いと世界遺産観光」をセットにした一日旅として楽しめるのが、このエリアの大きな魅力です。
冬季は雪や凍結によって、車の運転や歩行に注意が必要な日もあります。スタッドレスタイヤや防寒着の準備をして、安全第一で参拝するようにしましょう。
鹿沼・古峯神社でじっくりお参りしたい人向け
鹿沼市の山あいに鎮座する「古峯神社(ふるみねじんじゃ)」は、日本武尊を祭神とする神社で、古くから「天狗の社」としても知られています。境内には大小さまざまな天狗のお面が奉納されており、独特の雰囲気を醸し出しています。創建は古く、1300年以上の歴史があると伝わっています。
古峯神社では、厄除け・方位除け・家内安全・交通安全など、多くの祈願を毎日受け付けています。個人のご祈祷は、名前入りのお札が付くもので、おおよそ3,700円前後からが目安とされています。ご祈祷は朝8時ごろから夕方17時ごろまで随時行われており、申し込みを済ませれば、その日のうちに祈祷を受けることができます。ただし、金額や時間帯の詳細は改定されることもあるため、実際に訪れる前に公式の案内を確認するようにしてください。
古峯神社の魅力は、何と言っても周囲の自然環境です。境内には池泉回遊式の日本庭園「古峯園」があり、春の新緑、夏の深い緑、秋の紅葉、冬の雪景色など、四季折々の景色を楽しめます。静かな山の空気に包まれて歩いていると、日常の慌ただしさから解放されるような感覚を味わえるはずです。
また、古峯神社では「参籠(さんろう)」といって、社務所が運営する宿泊施設に泊まり込みでお参りする人も多くいます。その場合、夜間や早朝の静かな時間帯にゆっくりと神前で手を合わせることができ、心身をリセットしたい人にはとても良い環境です。
大前神社・大前恵比寿神社とエリア別の選び方
真岡市にある「大前神社(おおさきじんじゃ)」は、延喜式内社として古くから続く神社で、開運や縁結びの神さまとして知られています。その境内にある「大前恵比寿神社」には、全高約20メートルという日本有数の大きさの恵比寿像が立っており、観光案内やメディアでは「日本一のえびす様」として紹介されることも多いです。宝くじ当選祈願や金運上昇のスポットとしても人気があります。
大前神社のご祈祷受付時間は、2025年11月時点ではおおむね8時30分から16時20分ごろまでが目安とされています。受付から祈祷終了までの流れは30分前後で、厄祓・方位除・家内安全・交通安全など、さまざまな願いごとに対応しています。個人祈祷の初穂料は5,000円以上が基本で、願いごとや内容に応じて1万円といった金額を選ぶこともできます。具体的な金額設定や授与品の内容は年度によって変わる可能性があるため、公式サイトや社務所で最新の案内を確認してください。
大前恵比寿神社では、金運招福や宝くじ当選祈願などをインターネット経由でも受け付けています。公式サイトの「インターネット祈願受付」ページから申し込みを行うと、神社側で祈祷を行ったあとにお札やお守りが郵送される仕組みです。ネット祈願の初穂料としては、5,000円または10,000円といった区分が基本になっているケースが多く、それ以上の金額を納めたい場合は個別に相談する形になることもあります。
栃木県内で「どこに行くか」を選ぶときは、エリアごとの特徴を意識すると決めやすくなります。宇都宮市内やその近郊に住んでいる人は宇都宮二荒山神社がアクセスしやすく、東北自動車道沿いで考えるなら佐野厄除け大師が候補になります。自然に囲まれた環境でじっくりお参りしたいなら古峯神社、厄祓とあわせて金運や商売繁盛もお願いしたいなら大前神社・大前恵比寿神社、といったように、自分が重視したいポイントに合わせて選んでみてください。
厄払い当日の流れとマナー
受付の仕方と初穂料(祈祷料)の相場感【すべて目安】
厄払いの当日は、まず寺社の境内にある「ご祈祷受付」「御祈願受付」「祈祷お申し込み」などと書かれた場所に向かいます。そこで申込用紙を受け取り、氏名や住所、生年月日、数え年、祈願の内容(厄除・方位除・家内安全など)を記入し、初穂料(お布施)を納めます。
栃木県内の主要な寺社を例にすると、個人の厄除け・方位除けの初穂料は、2025年11月時点でだいたい次のようなイメージです。
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佐野厄除け大師:個人祈願は3,000円前後から。5,000円や1万円など、複数の金額区分がある。
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宇都宮二荒山神社:個人祈祷の初穂料は5,000円以上が目安。
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日光二荒山神社:祈祷料は5,000円からの例が多い。
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古峯神社:名前入りのお札付き個人祈祷が3,700円前後から。
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大前神社・大前恵比寿神社:個人祈祷は5,000円以上が基本で、ネット祈願では5,000円または10,000円が中心。
これらをまとめると、厄除けの初穂料は「多くの神社・お寺で5,000円前後〜1万円程度が中心で、場所によっては3,000円から受け付けているところもある」と考えるのが現実的です。あくまで相場であり、各寺社が独自に金額や区分を決めているため、最終的な金額は必ず公式の案内で確認してください。
金額が高いほどご利益が増えるというよりも、「自分の気持ちをどこまで金額という形で表すか」という意味合いが強いです。無理をして高額なコースを選ぶよりも、無理なく納められる金額を選び、そのぶん生活や健康を整える行動につなげていくほうが、結果として安心感も増していきます。
申込用紙の書き方と人数・代理参拝のポイント
受付で渡される申込用紙には、氏名・ふりがな・住所・電話番号・生年月日・数え年といった基本情報のほか、祈願内容を選ぶ欄が用意されていることが多いです。「厄除」「方位除」「八方塞がり除け」「家内安全」「交通安全」などの項目から、お願いしたい内容を選んで記入します。
厄年にあたる人が複数いる場合、1枚の用紙に全員の名前を書く方式の寺社もあれば、一人につき1枚ずつ書く方式の寺社もあります。大前神社のように、「厄祓・方位除・八方厄除」「初宮・安産祈願」「自動車清祓」など用途ごとにPDF申込書を用意しているところでは、あらかじめ印刷して記入してから持っていくと、当日の受付がとてもスムーズになります。
本人がどうしても行けない場合、家族や代理の人が申し込みをすることも一般的です。多くの寺社では、本人がその場にいなくても祈祷を受け付けており、郵送祈願などを利用するケースもあります。ただし、細かい取り扱いは寺社ごとに違うため、「代理参拝で申し込みたい」という場合は、事前に電話やメールで確認しておくと安心です。
祈祷の所要時間とよくある進行パターン
厄払いの祈祷は、受付から終了までどれくらい時間がかかるのでしょうか。栃木の主な寺社の案内を見てみると、日光二荒山神社の安産祈願では「所要時間は約15〜20分」、大前神社の一般のご祈祷では「受付から終了までおおよそ30分程度」と説明されています。
厄除けや方位除けも、実際に祭壇の前で行われる神事自体は15〜30分前後と考えておけばだいたい合います。ただし、受付や待機時間、お札や授与品を受け取る時間も含めると、トータルで30〜60分くらいは見ておいたほうがよいでしょう。正月三が日や大安の週末など、混雑する日はさらに時間が延びる可能性があります。
進行の流れは寺社ごとに少しずつ違いますが、一般的には次のようなものです。
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神職や僧侶が入堂し、一礼
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修祓(しゅばつ)といって、参列者やお札をお祓いする
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祝詞奏上または読経
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太鼓や鈴の音とともに、災いや穢れを祓う所作
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参列者一人ひとりまたは代表者による玉串拝礼・焼香
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神職・僧侶が退場し、最後に一礼
最初は緊張するかもしれませんが、その場で「ご起立ください」「ご着席ください」「順番にお進みください」と案内してもらえるので、特別に作法を覚えていなくても大丈夫です。
服装・身だしなみで気をつけたいこと
厄払いに行くときの服装は、「少しきちんとした普段着」を目安にするとよいです。絶対にスーツでなければいけないわけではありませんが、ジャージやスウェット、ビーチサンダル、過度に露出の多い服装は避けたほうが無難です。
男性の場合は、襟付きのシャツやニットにチノパンやスラックスを合わせたスタイルがちょうどよいでしょう。女性は、落ち着いた色のワンピースやブラウス+パンツ、スカートなどが合います。どちらも、上からコートを羽織れば、厳かな雰囲気にも問題なくなじみます。アクセサリーや香水は控えめにしておいたほうが、周囲にも自分にもやさしいです。
栃木の冬はかなり冷え込むため、防寒対策も重要です。コート・マフラー・手袋・カイロなどを準備しておけば、屋外での待ち時間が長くなっても体が冷えにくくなります。日光や古峯神社のような山間部では雪や凍結もあるので、滑りにくい靴や温かい靴下を選ぶことも忘れないようにしましょう。
祈祷後に記念撮影をする寺社もあります。「後から写真を見返したときに恥ずかしくないかどうか」を基準に服装を考えると、自然とちょうどいい格好に落ち着きます。
祈祷が終わった後の参拝のしかた
祈祷が終わったら、そのまま帰るのではなく、あらためて本殿・本堂にお参りしたり、境内を散策したりする人が多いです。神社でのお参りの基本的な流れは、「二拝二拍手一拝」と呼ばれる作法です。
まず、手水舎で手と口を清めます。次に拝殿の前に立ち、軽く一礼してから賽銭を静かに入れます。そのあと、深いおじぎを二回行い、胸の前で手を合わせて二回拍手します。手を合わせたまま、感謝の気持ちやお願いごとを心の中で伝え、最後にもう一度深いおじぎをして終わります。細かい動きは神社によって少し違うこともありますが、あまり細部にとらわれすぎず、心を込めて手を合わせることのほうが大切です。
お寺の場合は、合掌して静かに手を合わせるだけのところが多いです。線香やろうそくを供える場所があれば、案内にしたがってお供えし、静かにお参りします。
時間があれば、境内の摂社・末社や小さな祠を順番に回ってみるのもよいでしょう。それぞれに縁結び、子どもの成長、交通安全などのご利益が伝えられていることもあり、案内板を読みながら歩くと新しい発見があります。自然に囲まれた神社やお寺では、景色を眺めながらゆっくり歩くだけでも心の切り替えになります。
持ち物・お札の扱い・お守りのこと
厄払いに行くときにあると安心な持ち物リスト
厄払いは、何度も経験するイベントではありません。せっかく行くなら、あまりバタバタせず落ち着いて過ごしたいところです。あらかじめ次のような持ち物を準備しておくと安心です。
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初穂料(祈祷料)と、お賽銭や交通費などを含めた現金
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メモ帳とペン(受付での説明やお札の置き場所などをメモしておく用)
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お札や授与品を入れるための手提げ袋やエコバッグ
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防寒グッズ(カイロ・マフラー・手袋など、冬場は特に)
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必要な常備薬(酔い止め・頭痛薬など)
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スマートフォンやカメラ(充電をしっかりしておく)
特に1〜2月の栃木は冷え込みが厳しいため、待ち時間が長くなったときに体を冷やしすぎない準備が大切です。山間部の神社に行く場合は、滑りにくい靴や暖かい靴下も重要です。
参拝後に近くの観光地や飲食店に寄るつもりであれば、簡単な行き先メモや営業時間も控えておくと、当日慌てることが少なくなります。
もらったお札・お守りは家のどこに置く?
厄払いの祈祷を受けると、名前の入ったお札やお守りを授与してもらえます。これらを家でどう扱うかも、よく聞かれるポイントです。
神社から授与されたお札は、可能であれば神棚におまつりします。神棚がない場合は、リビングや和室など、家族がよく集まる部屋の、目線より少し高い棚やタンスの上などに立てかけるのが一般的です。直射日光や湿気を避け、日常的に手を合わせやすい場所を選びます。向きは南または東がよいと言われることもありますが、向きにこだわるあまり、手を合わせにくい場所に置いてしまっては本末転倒です。「ここなら自然と手を合わせられる」と思える場所を優先しましょう。
お寺から授与されたお札は、仏壇がある家庭なら仏壇の近くにおまつりすることが多いです。仏壇がない場合は、神社のお札と同じように、清潔で高い場所に置けば問題ありません。宗派によって細かな考え方が違うこともあるので、気になる場合はお寺の方に相談してみるのもよいでしょう。
お守りは、肌身離さず持つことに意味があるとされます。厄除けのお守りなら、通勤カバンやポーチ、財布などに入れて持ち歩く人が多いです。交通安全のお守りは車やバイク、自転車につけることが一般的ですが、運転に支障のない場所を選ぶようにしましょう。お守り袋は基本的に開けず、中身を取り出さないのがマナーとされています。
車のお祓いと一緒にお願いしたいときの注意点
車をよく運転する人は、厄払いと合わせて交通安全の祈祷も受けておきたいと考えることが多いと思います。栃木県内の多くの神社では、自動車清祓(車のお祓い)を受け付けています。大前神社のように、境内に車のお祓い専用の駐車位置が用意されているところもあり、案内看板にしたがって車を停めてから受付を行う形になります。
車のお祓いを受ける際には、車内やトランクの荷物をできる範囲で整理し、ゴミはなるべく片づけておきましょう。外側も、洗車が難しくても、ライトやナンバープレートだけでも拭いておくと印象がよくなります。車検証やキーなど、必要なものがあれば忘れずに持参します。
また、可能であれば普段その車を運転する本人が立ち会うのが望ましいとされています。厄払いと車のお祓いを同じ日に行う場合は、どちらも無理なく受付できる時間帯に行けるよう、少し早めの時間を選ぶと安心です。具体的な流れや必要なものは神社によって違うので、心配なら事前に公式サイトを確認しておきましょう。
古いお札・お守りの返納マナー
新しい年に新しいお札やお守りを受けたら、これまで持っていたものはどうするのかも気になるところです。一般的には、お札やお守りの「効き目」は1年程度とされていて、その期間の役目を終えたら、神社やお寺に返納します。
多くの寺社には、「古札納所」「古神札お納め所」「お焚き上げ」といった名前の箱や場所が設けられています。そこに古いお札やお守りを静かに納め、「一年間守っていただきありがとうございました」と心の中でお礼を伝えます。可能であれば、その近くや本殿前のお賽銭箱に、感謝の気持ちとして少しだけお金を入れるとよいでしょう。
本来は、授かった寺社に返すのがいちばん丁寧な方法です。ただ、引っ越しなどで距離が遠くなってしまった場合は、近くの神社・お寺に相談して受け取ってもらえるか聞いてみるのも一つの方法です。自宅で燃えるゴミとして捨ててしまうのは、気持ちの上でもあまりおすすめできません。
お札やお守りを返すとき、紙やビニール袋でぐるぐるに包む必要はありません。お焚き上げの際に支障が出てしまうこともあるので、基本的にはそのままの状態で納めれば十分です。
ネット申し込み・郵送での厄払いはどこまでアリ?
最近は、遠方に住んでいたり、仕事や家族の事情でなかなか外出できなかったりする人のために、郵送での祈祷申し込みやインターネット祈願に対応している寺社が増えています。
栃木県内では、佐野厄除け大師が代表的な例です。公式の案内にもとづいて専用の申込書や振込方法を用意し、申し込みを受けたあとに寺側で厄除けや方位除けの祈祷を行い、その後にお札やお守りを郵送する仕組みになっています。現地まで行くのが難しい人でも、今年の厄除けをきちんとお願いしておきたい、というときに利用しやすい方法です。
大前神社・大前恵比寿神社でも、公式サイト上に「インターネット祈願受付」ページがあり、健康長寿や災難厄除、金運招福などの祈願をインターネット経由で受け付けています。申し込み後に神社側が祭壇でご祈祷を行い、のちほどお札やお守りが自宅に届きます。
こうした方法を使う場合でも、祈祷そのものはしっかりと社殿・本堂で行われています。「足を運ばないと意味がない」というより、「足を運べないときでも、ご縁を結べる手段」と考えるとよいでしょう。もちろん、タイミングが合うときには直接参拝し、実際に手を合わせる時間を持てると、気持ちの切り替えという意味ではいっそう効果的です。
よくある疑問Q&Aと栃木ならではの楽しみ方
家族全員で受けるべきか、一人でもいいのか
「厄払いは家族全員で受けなければならないのか」「親と一緒に行かないといけないのか」といった質問はよくありますが、決まったルールがあるわけではありません。
厄年にあたる本人だけが祈祷を受けるケースもあれば、本人と家族全員の名前を申込用紙に書いて「家内安全」「身体健全」などの祈願も合わせて受けるケースもあります。逆に、家族は付き添いとして参列し、祈祷を受けるのは厄年の本人だけ、という形もよくあります。
一人で行くことも、もちろん問題ありません。一人で静かに神前・仏前に座っていると、ふだんはあまり意識しない自分の気持ちや不安、これからやりたいことなどが、自然と浮かんでくることもあります。初めてで不安なら、友人や家族に付き添ってもらい、祈祷を受けるのは自分だけにする、という形も選べます。
大切なのは、「本当はこうしたいのに、人の目を気にして我慢している」という状態にならないことです。家族構成や仕事の都合もあるので、自分にとっていちばん自然で、気持ちよく受けられる形を選びましょう。
厄年じゃなくても厄払いしていい?
厄年以外の年に厄払いをお願いしてもいいのか、という点もよく聞かれます。結論から言うと、問題ありません。
大前神社や日光二荒山神社など、多くの寺社では、厄除け以外にも家内安全・交通安全・商売繁盛・健康長寿など、さまざまな祈願を受け付けています。その中には「災難厄除」「方位除」「八方塞がり除」など、厄年とは直接関係のない災いを祓う祈願も含まれています。
「最近トラブル続きで気持ちが落ち着かない」「大きな転職や引っ越し、結婚などが重なって不安を感じている」といったタイミングで、厄年に関係なくお祓いを受ける人も多いです。また、大きな病気や事故から回復したあとに、「ここで一度区切りをつけたい」と考えて祈祷をお願いする人も少なくありません。
厄年の年齢は一つの目安にすぎません。「自分にとって今が節目だ」と感じたときこそ、心の準備を整えるタイミングだと考えてよいでしょう。
忙しくて元日〜節分に行けなかった場合
「元日から節分までに行こうと思っていたのに、忙しくて行けなかった」「時期を逃してしまった気がする」と落ち込む人もいますが、心配はいりません。
多くの寺社では、厄除けや方位除けの祈祷を一年中受け付けています。佐野厄除け大師も、年末年始の特別期間を除けば、通年で決まった時間帯にご祈祷を行っています。古峯神社や大前神社でも、8時〜17時前後の時間帯で祈祷を受け付けており、混雑の少ない時期にゆっくり訪れる人も多いです。
元日〜節分という時期は、あくまで「新しい年が始まるタイミングとして人気がある」という意味合いが強いです。その期間を外して参拝したからといって、ご祈祷の意味が薄れるわけではありません。むしろ、自分の生活リズムに合ったタイミングで落ち着いて参拝したほうが、気持ちに余裕を持って一年のスタートを切ることができます。
どうしても日程が合わない場合は、郵送祈願やインターネット祈願を活用し、「まずは今年の厄除けをお願いしておき、落ち着いたら現地に参拝する」という二段構えで考えるのも一つの方法です。
厄払いと一緒に楽しむ栃木グルメ・観光アイデア
厄払いをきっかけに少し遠くまで出かけるなら、その土地ならではのグルメや観光も一緒に楽しみたいところです。栃木には、厄払いと相性の良いご当地グルメや観光スポットがたくさんあります。
佐野厄除け大師に行くなら、佐野ラーメンはほぼ外せません。青竹で打ったコシのある麺と、透き通ったあっさりしょうゆスープが特徴のご当地ラーメンで、市内には多くの人気店があります。休日には、厄払いとラーメン食べ歩きをセットにして楽しむ人も多いです。
宇都宮二荒山神社の参拝と合わせるなら、「餃子のまち」として有名な宇都宮餃子も味わいたいところです。宇都宮市は、宇都宮餃子会などの取り組みで全国的に知られるようになり、焼き餃子・水餃子・揚げ餃子などさまざまなスタイルの餃子を提供する店が集まっています。複数の店の餃子を一度に楽しめる施設もあり、食べ歩きにも向いています。
古峯神社や鹿沼方面に足を伸ばすなら、鹿沼のニラそばもおすすめです。鹿沼市はニラの産地としても有名で、地元のそば屋では、そばの上にたっぷりのニラをのせた「ニラそば」を出しているところが多くあります。冷えた体に温かいそばがしみわたり、参拝後の楽しみとしてぴったりです。
日光二荒山神社に行く場合は、日光東照宮や輪王寺など「日光の社寺」エリアを一緒に巡ったり、中禅寺湖や華厳の滝まで足を伸ばしたりする一日旅にすることもできます。世界遺産の建造物と自然の景色を同時に楽しめるのは、日光ならではの魅力です。
このように、「厄払い+α」の楽しみを組み合わせて一日を過ごすと、心も体もリフレッシュできる充実した時間になります。
心構えと「気持ちの切り替え」としての厄払い
最後に、厄払いに向かうときの心構えについて少しまとめておきます。厄年という言葉はどうしても不安を呼びやすいものですが、必要以上に恐れてしまうと、小さなつまずきもすべて厄年のせいにしたくなってしまいます。それは、かえって自分を追い込むことにもなりかねません。
厄年を「悪いことが起きる年」と決めつけるのではなく、「自分の生活や心を見直すきっかけになる年」ととらえてみてください。厄払いは、その切り替えのための儀式のようなものです。
神社やお寺で手を合わせていると、これまでの自分のがんばりや反省点、これから大事にしたいことなどが、少しずつ整理されていきます。「無理をしすぎていなかったか」「身体のことを後回しにしていないか」「家族や身近な人を大切にできているか」など、普段は目をそらしてしまいがちなことにも、静かに向き合う時間になります。
厄払いを済ませて境内を歩いていると、「これでひと区切りついた」「また一年がんばろう」という気持ちが自然と湧いてくるはずです。その感覚こそが、厄払いのいちばんの意味だと言ってもいいかもしれません。
栃木には、にぎやかな寺院から山奥の静かな神社まで、いろいろな雰囲気の厄払いスポットがあります。自分の性格や生活スタイルに合った場所を選び、気持ちを整える一日にしてみてください。
まとめ
栃木で厄払いをしようと思ったとき、選べる寺社は想像以上にたくさんあります。厄除けの名所として全国的に知られる佐野厄除け大師、市街地からアクセスしやすい宇都宮二荒山神社、世界遺産エリアに位置する日光二荒山神社、山の静けさに包まれた古峯神社、開運や金運のご利益で人気の大前神社・大前恵比寿神社など、それぞれに個性と魅力があります。
厄年は、一般的には男性25歳・42歳・61歳、女性19歳・33歳・37歳・61歳とされていますが、これはあくまで神社本庁などが示す「広く使われている目安」です。地域や寺社によって多少の違いがあることも踏まえたうえで、「自分にとっての節目」を意識しながら、無理のない形で厄払いを受けることが大切です。
祈祷料の相場は、多くの寺社で5,000円前後〜1万円程度が中心で、場所によっては3,000円から受け付けているところもあります。受付時間や金額、申込方法はそれぞれの寺社が独自に定めていて、変更されることもあるため、「2025年11月時点の情報ではこうなっている」と理解しつつ、実際に行く前には必ず最新の公式案内を確認するようにしましょう。
服装は「少しきちんとした普段着」を意識し、防寒や滑りにくい靴などを準備しておけば、冬の参拝でも安心です。もらったお札やお守りは家の中の清潔で高い場所におまつりし、古くなったものは感謝の気持ちとともに寺社に返納します。遠方の人や忙しい人向けに、郵送祈願やインターネット祈願を用意している寺社も増えているので、自分の状況に合わせて柔軟に活用することもできます。
そして、栃木には佐野ラーメンや宇都宮餃子、鹿沼のニラそば、世界遺産の日光の社寺など、厄払いと一緒に楽しめるグルメや観光スポットが豊富にあります。厄払いをきっかけに、少しだけ日常から離れ、心と体をリフレッシュする一日にしてみてください。
厄払いは、不安を煽るためのものではなく、「ここからまた一歩踏み出そう」と前向きに気持ちを切り替えるための行事です。栃木の寺社と上手につき合いながら、自分らしい一年のスタートを切っていきましょう。


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