香川で厄払いを考え始めたら知っておきたい基本

「そろそろ厄年らしい」と聞いて、何となくそわそわしていませんか。香川県には、與田寺や田ノ口薬師、郷照寺、田村神社、白鳥神社、國分八幡宮、善通寺など、厄除けや祈祷で知られる場所がいくつもあります。しかし、いざ自分が行こうとすると、「神社とお寺どちらに行けばいいのか」「いつ行くのがよいのか」「お金はいくらくらい必要なのか」など、分からないことだらけになりがちです。しかも、厄年の年齢や祈祷の受付方法、金額、予約の要・不要は、寺社ごとに少しずつ違います。本記事では、香川の代表的な厄払いスポットをエリア別に紹介しながら、厄年の考え方、神社とお寺の選び方、予約やアクセス、服装や持ち物など、初めてでも戸惑いにくいように整理しました。さらに、厄払いをきっかけに日常生活で続けたい「小さな厄落とし」のアイデアも紹介しています。中学生でも読めるくらいのやさしい言葉でまとめていますので、これから香川で厄払いを考えている人は、気軽に読み進めてみてください。
厄年とは?香川で気をつけたいポイントと「寺社ごとの違い」
厄年という言葉はよく聞きますが、「何歳のときが厄年なのか」「本当に気にした方がいいのか」は意外とあいまいなままになりがちです。一般的には、数え年で男性は25歳・42歳・61歳、女性は19歳・33歳・37歳が「本厄」とされることが多く、その前後の年を前厄・後厄と呼ぶこともあります。
ただし、これはあくまでも全国的な代表例であって、「日本共通の絶対ルール」ではありません。香川県内の寺社が配布している厄年表を見ると、数え方や対象年齢に微妙な違いがあったり、数え年と満年齢のどちらを採用しているかが違っていたりすることがあります。
そのため、「自分が厄年に当たるかどうか」をきっちり確認したいときは、必ず参拝予定の寺社が出している厄年表を見るようにしましょう。とはいえ、厄年は「この年は必ず不幸が起こる」という意味ではありません。昔から、体調や立場の変化が起こりやすい年代をまとめて「気をつける時期」として意識してきただけとも言えます。ですから、「厄年だから怖い」というよりも、「今の自分の体と生活を、いつもより少し丁寧に見直してみよう」という合図くらいに考えると、ほどよい距離感で向き合えるはずです。
厄除け・厄払い・お祓いのざっくりした違い
厄年の話になると、似た言葉がいくつも出てきて混乱しやすくなります。「厄除け」「厄払い」「お祓い」は、日常会話の中ではほとんど同じ意味で使われることも多いですが、もともとのイメージには少しずつ違いがあります。よくされる説明では、「厄除け」はこれから近づいてくるかもしれない災いを遠ざける、「厄払い」はすでに身についてしまった厄を取り除く、「お祓い」はもっと広く、心身や場所についた穢れを清める神道の行為全般を指す、とされています。
ただし、実際の寺社の案内を見ると、「厄除け祈願」「厄除開運」「厄払い」「お祓い」など、さまざまな言葉が混ざって使われています。與田寺や郷照寺、田村神社など、香川の有名な場所でも表現は少しずつ違っていて、厳密に区別していないケースも多いのが現実です。
そのため、あまり言葉に振り回される必要はありません。申込用紙の「願いごと」の欄に「厄除け」「家内安全」「身体健全」「交通安全」などいくつか選択肢があるので、自分の状況に一番近いものを選べば大丈夫です。「これは厄除けなのか、それとも厄払いなのか」と細かく気にするより、「今年一年を穏やかに過ごしたい」「家族が健康でいられるようにしたい」という気持ちを素直に込めることを大切にしましょう。
神社とお寺、どちらに行く?香川ならではの選び方
厄払いをしたいと思ったとき、多くの人がまず迷うのが「神社に行くべきか、お寺に行くべきか」という点です。結論から言えば、香川県ではどちらを選んでも問題ありません。神社は神さまをおまつりし、お寺は仏さまをご本尊としておまつりしていますが、「不安を落ち着かせたい」「災いを遠ざけたい」という気持ちを受け止めてくれる場所であることは共通です。香川には、與田寺や田ノ口薬師、郷照寺など「厄除けの寺」として知られるお寺が複数ありますし、田村神社・石清尾八幡宮・白鳥神社・國分八幡宮など、厄除けや厄払いの参拝者が多い神社も各地にあります。
どちらが正しい、というよりも、次の三つを基準にすると選びやすくなります。まず一つ目は「家族のつながり」です。子どものころから家族でお参りしている氏神さまや、親世代がよく通っているお寺があれば、そこを選ぶと気持ちが落ち着きやすくなります。二つ目は「通いやすさ」。車がない人は駅やバス停から歩いて行きやすい場所、運転が得意なら駐車場の出入りがしやすい場所を選ぶと負担が減ります。三つ目は「自分が安心できる雰囲気」。実際に写真や口コミを見て、「ここなら素直に手を合わせられそう」と感じるかどうかも大切です。宗派や形式に縛られすぎず、心が落ち着く場所を選べば、それが自分にとっての正解になります。
いつ行くのが現実的?自分に合ったタイミングの決め方
厄払いというと、「お正月から節分までのあいだに済ませないといけない」というイメージを持つ人も多いと思います。しかし、香川県内の多くの寺社では、厄除け・厄払いの祈祷を一年中受け付けています。たとえば田ノ口薬師では、厄除け祈願を通年で行い、受付時間を8時〜17時と案内しています。
與田寺も、通常期は9時〜16時を基本の祈祷時間としており、年末年始や節分前後には特別な時間割で祈祷を行っています。
このように、時期によって混雑具合や受付時間は変わりますが、「この期間を逃したら厄払いができない」ということはありません。働いている人なら、仕事が比較的落ち着く時期や有給を取りやすい日、学生ならテストが終わったあとや長期休みの期間など、自分にとって無理のないタイミングを優先してかまいません。誕生日の前後や転職・引っ越しの前後、新年度の少し前など、生活の節目を選ぶ人もいます。大切なのは、「行かなきゃ」と焦るのではなく、「この日に心を整えに行こう」と自分なりの意味づけをして予定を組むことです。最終的な受付時間や行事との重なりは、必ず公式サイトや電話で確認しておきましょう。
最初に決めておくと楽になる三つのこと(誰と・どう行くか・予算)
厄払いに行こうと考えたとき、まず決めておくとスムーズなのが「誰と行くか」「どうやって行くか」「予算はいくらまでか」の三つです。まず、「誰と行くか」で、その日の雰囲気が大きく変わります。一人で静かに祈りたいのか、家族と一緒に行事として楽しみたいのか、友人とドライブがてら出かけたいのかによって、選ぶ場所や時間帯が変わってきます。次に、「どうやって行くか」。車で行く場合は、寺社の公式サイトや観光案内で駐車場の有無と台数を確認しておきます。田村神社や白鳥神社、郷照寺、田ノ口薬師などは駐車場があることが紹介されていますが、年末年始や大祭の日は満車になることもあるため、時間に余裕を持つことが大切です。
公共交通機関を使うなら、最寄り駅からの徒歩時間やバスの本数もチェックしましょう。最後に「予算」。全国的に、厄除けの祈祷料は5,000〜10,000円くらいの設定が多く、與田寺のように「祈祷料5,000円〜」と明記している寺もありますが、金額は寺社ごとに違います。
この記事で紹介している金額や相場は、あくまで「一般的な目安」です。実際に申し込むときは、必ずその寺社が案内している金額を優先し、自分の生活に無理のない範囲で決めるようにしましょう。
エリア別:香川の代表的な厄払いスポットと特徴
高松市エリアの特徴と田村神社・石清尾八幡宮のポイント
香川県の中心である高松市周辺は、車でも公共交通機関でもアクセスしやすい寺社が多いエリアです。まず名前が挙がりやすいのが田村神社です。田村神社は讃岐國一宮として古くから信仰を集め、交通安全・家内安全・厄除けなどの祈祷を行っています。公式情報では、個人の祈祷は原則として9時〜17時の間に随時受け付けており、一般的な厄除けや車の祈祷は予約不要とされています(団体や特別な祈祷は別扱いの場合があります)。
琴電一宮駅から徒歩圏内で、路線バスの便もあり、車がない人にとっても行きやすいのが特徴です。市街地寄りには石清尾八幡宮があり、「高松の総鎮守」とも呼ばれています。境内には古墳群が残り、歴史好きにはたまらない雰囲気の場所です。
高松エリアの良いところは、「厄払い+ちょっとしたお出かけ」をセットにしやすい点です。午前中に厄払いを受け、昼からは商店街や栗林公園を散歩したり、海辺に出て一息ついたりと、一日をのびのび過ごすことができます。注意したいのは、特に正月三が日や大きな祭りのときは道路も駐車場も混雑しやすいことです。車で行く場合は早い時間帯を選ぶか、少し歩いてもよいので別の駐車場を使うなど、余裕のある計画を立てると安心です。
東かがわ市エリア(與田寺・田ノ口薬師・白鳥神社)のまわり方
香川県の東の端に位置する東かがわ市には、厄除けや祈祷で知られる寺社がぎゅっと集まっています。與田寺は真言宗善通寺派の別格本山で、「厄除けの寺」として全国的にも名が知られています。行基によって開かれたと伝えられ、ご本尊は薬師如来です。
公式情報では、通常の御祈祷は9時〜16時に受け付けており、正月や節分の時期には8時30分〜17時のあいだで時間ごとに区切って厄除け祈祷を行っています。
同じ市内には、白鳥の伝説で知られる白鳥神社があります。日本武尊の魂が白鳥となって舞い降りたという伝承があり、境内には大きなクスノキの御神木が立っています。
さらに白鳥地区には田ノ口薬師(月光山東照寺)があり、「厄除けの寺」として一年を通して厄除け祈願を受け付けています。田ノ口薬師の特徴は、郵送による厄除け祈願に対応していることです。申込書と祈願料、切手代などを送ることで、お寺側が一年間にわたり祈願を続けてくれる仕組みで、2025年11月時点では一住所につき切手代390円と案内されています(郵便料金の改定により再び変わる可能性があります)。
東かがわエリアを一日で回るときは、「午前は與田寺、午後は白鳥神社」「午前は田ノ口薬師、午後は白鳥神社」というように、二カ所程度にしぼるとゆとりのある行程になります。高速道路のインターチェンジからも比較的近く、高松からの日帰りドライブにも向いているエリアです。
宇多津〜坂出エリア:郷照寺と瀬戸大橋ビューを楽しむ
瀬戸大橋が見える宇多津・坂出周辺も、厄払いの目的地として人気の高いエリアです。宇多津町の郷照寺は、行基が開いたと伝えられ、弘法大師が42歳のときに厄除けの誓願を立てたことから「厄除うたづ大師」として信仰を集めてきました。
四国霊場の中でも珍しい、真言宗と時宗の両方の教えを受け継ぐ寺院であることも特徴です。
境内は高台にあり、天気の良い日には瀬戸大橋や沿岸部の景色を一望できます。JR宇多津駅から徒歩で向かうことも可能ですが、途中に坂道があるため、足腰に不安がある場合はタクシーの利用も検討するとよいでしょう。参拝の前後に瀬戸大橋記念公園に立ち寄ったり、海沿いを散歩したりすれば、「厄払いの日」が小さな旅行のような一日になります。祈祷の受付時間や予約の要・不要は、行事や時期によって変わることがあるため、遠方から来る場合は公式サイトや電話で確認しておくと安心です。宇多津の町は飲食店や宿泊施設も多く、「前日泊+翌朝に厄払い」という形の計画も立てやすくなっています。
国分寺〜善通寺エリア:國分八幡宮と善通寺の一日コース
高松市国分寺町にある國分八幡宮は、静かな森の中にたたずむ落ち着いた神社です。本殿の裏には古い磐座が残り、白蛇の伝承が語り継がれていることでも知られています。
國分八幡宮は、厄除けや方位除けの祈祷を行っていますが、御祈祷は基本的に予約制と案内されています(正月期間など、一部の時期を除く)。
そのため、厄払いを受けたい場合は、日程が決まった段階で電話や公式サイトから必ず予約を入れましょう。境内は大きすぎず、ゆっくりと気持ちを整えるのに向いた空気があります。同じ日程で西讃方面まで足を延ばせるなら、善通寺を組み合わせる一日コースもおすすめです。善通寺は真言宗善通寺派の総本山で、弘法大師空海の生誕地として知られる大きなお寺です。
御影堂で行われる「特別祈願」の中には、厄除けや家内安全なども含まれており、こちらも予約制で受け付けられています。
國分八幡宮での祈祷を午前中に済ませ、午後は善通寺の広い境内を歩きながら心を落ち着かせる――そんな一日の過ごし方を選べば、「お願い」と「自分を見つめ直す時間」の両方を持つことができます。どちらも歴史の深い場所なので、寺社の由緒を少し事前に読んでおくと、現地での感動も大きくなります。
小豆島・県外から来る人向けのゆるいモデルコース
小豆島や県外から香川に来て厄払いをしたい人にとっては、「移動だけでかなり体力を使う」という現実があります。フェリーや高速バス、飛行機などの時間に合わせつつ、厄払いは一カ所にしぼるくらいの気持ちでちょうど良いと考えましょう。たとえば高松港に到着したら、午前中に田村神社で厄払いを受け、昼食後に栗林公園や商店街を散歩するコースがあります。
坂出・宇多津方面に宿泊し、翌朝に郷照寺で厄払いを受けてから瀬戸大橋周辺を観光する、というプランも人気です。
大切なのは、「あれもこれも行きたい」と欲張りすぎないことです。寺社を3〜4カ所はしごすると、移動や待ち時間でくたびれてしまい、せっかくの厄払いの日が「疲れた日」になってしまうこともあります。事前に、「厄払いは一カ所」「観光スポットは二カ所くらい」「食事は余裕を持って」のように、ざっくりと上限を決めておくと良いでしょう。小豆島側で参拝したい場合は、島内の神社やお寺を選び、別の日に本州側の寺社に行く計画に分ける方法もあります。移動時間も含めて「自分を整えるための一日」と考えれば、厄払いそのものだけでなく、旅のすべてが意味のある時間に変わっていきます。
ライフイベント別に見る香川の厄払い活用術
一人暮らし・転職・引っ越し前後で心を整える厄払い
一人暮らしを始めるときや、転職・引っ越しの前後は、生活が大きく変わるタイミングです。楽しみがある一方で、環境の変化によるストレスも増えます。「ちょうど厄年と重なっている」と聞くと、不安がふくらんでしまう人もいるでしょう。そんなときの厄払いは、「これからの生活への不安をいったん紙に書き出して、神さまや仏さまに預ける時間」と考えると分かりやすくなります。申込書の願いごと欄には、「転職先で人間関係が良好でありますように」「新しい家で安全に暮らせますように」と、具体的な言葉を入れてみてください。香川県では、田ノ口薬師のように郵送での厄除け祈願を受け付けているお寺もあり、遠方に住んでいてもお願いを託すことができます。
ただし、郵送祈願は「その場で目の前でお祓いをしてもらう」という形とは少し違い、お寺側が一年間にわたって祈願を続けてくれるスタイルになっている場合があります。このあたりの仕組みはお寺によって異なるため、申し込む前に公式サイトで説明を読み、「自分がイメージしている祈祷の形と合っているか」を確認しておくと安心です。厄払いをきっかけに、荷物の整理や生活リズムの見直し、近所の店や病院の確認などを進めていけば、心配ごとも少しずつ小さくなっていきます。
結婚・出産・子育て期に意識したい厄払いの考え方
20代後半から30代にかけての女性の厄年は、結婚や出産、子育ての時期と重なりやすくなります。この時期は、自分だけでなく家族にも気を配ることが多く、「自分の厄年まで気にしている余裕がない」と感じることもあるかもしれません。そんなときは、「大きな行事を一度にこなそう」とせず、「優先順位をつけてゆっくり進める」考え方が大切です。香川の寺社の中には、田村神社や與田寺、郷照寺など、子ども連れや家族での参拝が多い場所があります。
厄払いと七五三、初宮参りなどを同じ日にすることもできますが、子どもの機嫌や体調を考えると、時間が長くなりがちで負担が大きくなることもあります。むしろ、「まずは自分の厄払いだけを落ち着いて受ける日を作る」「子どもの行事は別の日にゆっくり」と分けてしまった方が、結果的に安心して過ごせることも多いです。祈祷の内容としては、「自分の厄除け」と「家族全員の健康」を一緒にお願いすることもできますし、お寺や神社によっては、申込用紙に家族の名前をあわせて書くこともできます。わざわざ言葉で説明しなくても、「家族で健康に暮らせるように」という願いが自然と祈りの中心になっていけば、それが一番の厄除けにつながっていきます。
夫婦で厄年が重なったときの向き合い方
結婚して数年たつと、「気づいたら、今年は夫婦同時に厄年だった」ということもあります。こうしたときに、「絶対に二人一緒に行かなければいけない」という決まりはありません。どちらかの都合に合わせて一緒に行くのも、一人ずつ別の日に行くのも、どちらでもかまいません。小さな子どもがいる場合は、祈祷中の待ち時間が負担になることもあるので、片方が子どもを見ているあいだに、もう片方だけ祈祷を受ける方法もあります。國分八幡宮のように予約制の神社であれば、希望の時間帯を指定して申し込めるため、家族の予定も合わせやすくなります。
また、「二人分の名前を申込用紙に書き、一度の祈祷でまとめてお願いする」というやり方もあり、時間が取れない夫婦にとって現実的な選択肢になります。大事なのは、「厄年だから危ない」という恐怖心を強めることではなく、「今は少し慎重に過ごそう」「お互いの体をいたわろう」と話し合うきっかけにすることです。参拝のあと、お気に入りのうどん店やカフェに立ち寄って、一緒にゆっくり食事をするだけでも、「今年も二人でがんばっていこう」という前向きな気持ちが生まれてきます。
Uターン・Iターン・移住のタイミングで行う厄払い
地元の香川に戻ってくるUターンや、別の都道府県から香川に移り住むIターン・移住も、人生の大きな節目です。このタイミングは厄年に関係なく、「新しい生活が穏やかに始まるように」という願いを込めて寺社にお参りする人が多くなります。香川県出身の人がUターンする場合、子どものころから親しんできた氏神さまや、七五三や初詣で通っていた神社・お寺に改めて挨拶に行くと、「帰ってきた」という感覚を実感しやすくなります。田村神社などの大きな神社も良いですし、実家の近くの小さな神社でもかまいません。
一方、他県から香川に移住してきた人は、まだ土地勘がなく、どの寺社に行けばいいのか分からないこともあるでしょう。そんなときは、地域の自治会や近所の人に「このあたりの氏神さまはどこですか」と聞いてみると、地元の人たちが普段からお参りしている場所を教えてもらえます。郷照寺や與田寺のように、景色や歴史の見どころが多い寺院を選べば、観光を楽しみながら土地の空気になじむこともできます。
引っ越しの片づけがひと段落したタイミングで、「これからこの場所でお世話になります」と手を合わせる。それだけでも、新しい生活への緊張が少しやわらぎ、前向きな気持ちで日々をスタートさせることができます。
親世代の年祝いとあわせて行うファミリー厄払い
自分自身が40代に近づいてくるころ、親世代は還暦や古希などの節目の年を迎えます。このタイミングで、「親の長寿のお祝い」と「自分やきょうだい世代の厄払い」を合わせて行う家族も多くなります。香川には、境内が広く駐車場も確保されている田村神社や白鳥神社、郷照寺など、三世代で集まりやすい寺社があります。
高齢の家族がいる場合は、階段の数や参道の傾斜、ベンチの有無といった「移動のしやすさ」も事前に確認しておきましょう。祈祷後の流れも大切です。近くの和食店やうどん店でゆっくり食事ができるよう、あらかじめ時間帯を予約しておけば、慌てずに楽しめます。写真撮影は、祈祷がすべて終わってから、人の流れの邪魔にならない場所で短時間にするのがポイントです。大げさな演出をしなくても、「ここまで元気に過ごせたね」と言葉にすること自体が、家族みんなにとっての大きな厄落としになります。子どもにとっても、「家族で寺社に行き、感謝を伝える」という経験は心に残りやすく、次の世代へと自然に受け継がれていきます。
スムーズに厄払いを受けるための実務ポイント
予約がいる寺社・いらない寺社の見極め方
香川県内の寺社と言っても、祈祷の受付方法はさまざまです。大きく分けると、「基本的に予約不要で、受付時間内なら随時祈祷を受け付けている寺社」と、「御祈祷は原則として予約が必要な寺社」の二つに分かれます。田村神社や田ノ口薬師は、一般の厄除け祈願については予約不要で、案内されている時間内に社務所や寺務所で申し込めば対応してもらえるスタイルです。
一方、國分八幡宮や善通寺の特別祈願は、基本的に予約制になっています。國分八幡宮では、「正月期間などの例外を除き、御祈祷は事前予約が必要」と案内されており、善通寺の御影堂特別祈願も予約フォームや電話での申し込みが前提になっています。
與田寺については、通常は予約なしでも受け付けていますが、行事や平日の時間帯によっては不在のこともあるため、遠方から行く場合は事前に連絡をしておくと安心です。
見極めのコツは、まず公式サイトの「祈祷の案内」ページをよく読むことです。「随時受付」「予約制」「要事前連絡」といったキーワードを確認し、少しでも不明な点があれば電話で「個人の厄除け祈願を受けたいのですが、予約は必要ですか?」と聞いてしまいましょう。この記事で書いている受付方法は、あくまで2025年11月時点の情報なので、実際に行く前には必ず最新の案内を確認してください。
初穂料・祈祷料の目安と無理のない決め方
厄払いを考えるとき、多くの人が気にするのが祈祷料の金額です。全国的には、厄除けを含む一般的な祈祷料は5,000〜10,000円程度に設定されていることが多く、香川県内の寺社でも近いレンジの案内が目立ちます。
與田寺では祈祷料5,000円〜、田村神社では個人祈祷を8,000円と案内しているなど、それぞれの寺社が独自に金額を定めています。
ここで大事なのは、「この記事に出てくる金額や相場はあくまで一般的な目安であり、最終的には各寺社の案内を優先する」という点です。金額の段階がいくつか用意されている場合、金額が高いほど「ご利益が強くなる」という意味ではなく、授与されるお札やお守りの種類が増えたり、記念品が付いたりと、内容が変わることが多いです。自分の生活と相談して、「この金額なら無理なく納められる」と納得できるラインを選ぶことが一番です。余裕がないのに無理をして高額な祈祷を申し込むより、無理のない金額にして、日常生活の中で体調管理や行動に気をつける方が、長い目で見て心の安定につながります。金額が心配な場合は、事前に電話で「厄除け祈願の初穂料(祈祷料)の目安」を聞いておくと、当日あわてずに済みます。
アクセスと所要時間の考え方(車・電車・バス)
香川県はコンパクトな県ですが、移動手段によって体感時間は大きく変わります。車で行く場合、多くの寺社に無料駐車場があります。田村神社、白鳥神社、郷照寺、田ノ口薬師などには、公式情報や観光サイトでも駐車場の存在が紹介されています。ただし、正月や大きな祭りの日には満車になることもあるので、時間に余裕を持って到着するようにしましょう。
國分八幡宮の周辺には道幅が狭い場所もあるため、運転に慣れていない人は慎重に走る必要があります。
電車やバスで行く場合は、最寄り駅から寺社までの徒歩時間や坂道の有無もポイントです。郷照寺はJR宇多津駅から徒歩で行くことができますが、途中に坂道があり、夏場や夕方は体力を使います。
高松市内の田村神社や石清尾八幡宮であれば、琴電やバスを利用しやすく、仕事帰りや買い物ついでに立ち寄ることも可能です。計画を立てるときは、「移動時間」「祈祷の受付・待ち時間」「参拝や写真撮影の時間」に、さらに30分〜1時間ほどの余裕を足したものを目安にすると、急な混雑があっても慌てずに行動できます。この記事で紹介している移動時間は、あくまで一般的なおおよそのイメージなので、実際には地図アプリや時刻表で自分の出発地からのルートを確認するようにしましょう。
当日の持ち物と基本マナー
厄払い当日の持ち物は、意外と多くありません。最低限必要なのは、祈祷料を入れた財布、交通費、スマホ、ハンカチやティッシュくらいです。家族全員の名前と生年月日を書いたメモを事前に準備しておくと、申込用紙を書くときにスムーズです。靴を脱いで本殿や本堂に上がる場合もあるので、清潔な靴下を履いていくか、替えを持っていくと安心です。スマホは、境内に入る前に音とバイブレーションを切り、祈祷中は操作しないようにします。写真撮影については、神社やお寺によってルールが異なります。多くの場合、社殿や本堂の内部、祈祷中の撮影は禁止されています。境内の風景を撮るときも、他の参拝者が写り込まないように配慮し、短時間で済ませる心がけが大切です。御朱印をもらう場合は、混雑時には書き置きの対応になることもあるので、「必ず直書きで」というこだわりを少しゆるめておくと気持ちが楽になります。マナーの細かい部分は寺社ごとに違うこともあるため、分からないことがあれば、社務所や寺務所で遠慮なく質問してしまいましょう。
子ども連れ・高齢の家族と一緒に行くときの工夫
子どもや高齢の家族と一緒に厄払いに行くときは、「歩きやすさ」と「休憩のしやすさ」を最優先に考えると、みんなが楽に過ごせます。服装は、正装でなくてもかまいませんが、露出の多い服や派手すぎる格好は避け、落ち着いた雰囲気のカジュアルを意識しましょう。足元は、スニーカーなどの歩き慣れた靴が基本です。白鳥神社のように参道が比較的なだらかな場所や、田村神社・郷照寺のように境内に休憩できる場所がある寺社を選ぶと、途中でこまめに休めます。
小さな子どもがいる場合、祈祷中に泣いてしまうこともありますが、それほど気にしすぎる必要はありません。どうしても落ち着かないときは、一度外に出て気分転換をさせるくらいの気持ちでいましょう。高齢の家族については、階段の段数や手すりの有無、駐車場から本殿までの距離が負担になりやすいので、事前に写真や地図で確認しておくと安心です。全員にとって無理のないペースを守り、「今日はみんなでここまで来られてよかった」と感じられる時間を作ることが、一番の目的です。
厄払いの後に続けたい「日常の厄落とし」
家の環境を整えて運気をキープする習慣
厄払いを受けた日は、気持ちが軽くなったり、心がすっとしたりする人が多いでしょう。その感覚を日常の中で長く保つためには、家の環境を少しずつ整えていくことが役に立ちます。いきなり全部を片づけるのは大変なので、まずは玄関とリビングから始めてみてください。玄関は、出しっぱなしの靴を何足も並べず、その日に使う分だけを出しておくようにします。週に一度、玄関マットをはたき、砂やホコリを掃き出すだけでも、空気の感じが変わってきます。リビングでは、「床にものを置かない」ことを目標に、読み終わったチラシや雑誌はその日のうちにまとめて捨てたり、机の上に積み上がった紙をファイルに移したりしてみましょう。完璧な状態を目指す必要はなく、「昨日より少しだけすっきりしている」程度で十分です。こうした小さな積み重ねは、自分の生活を自分で整えているという感覚につながり、厄払いで得た安心感を支えてくれます。
食生活と睡眠でトラブルを減らす考え方
厄年の時期は、「体調を崩しやすい」とも言われますが、これは迷信というより、実際に仕事や家事の負担が増えやすい年代と重なっているからかもしれません。香川では、手軽においしいうどんが食べられるため、どうしても炭水化物中心の食事になりがちです。厄払いをきっかけに、食生活と睡眠を少し見直してみましょう。うどんを食べるときには、天ぷらやおにぎりを減らして、そのぶんサラダや煮物、温野菜を追加してみる。夜遅くのラーメンを、週に数回は控えてみる。こんな小さな工夫でも、続けていると体が軽く感じられるようになります。睡眠についても、「理想の7時間睡眠」をいきなり目指すのではなく、まずは普段より30分だけ早く布団に入る日を増やしてみることから始めてみてください。お酒を飲む機会が多い人は、休肝日を一日作るだけでも、翌日の体調が違ってくるはずです。これらは医療行為ではありませんが、当たり前の生活習慣を少し整えることが、結果的に病気やケガのリスクを下げ、「厄を遠ざける」ことにつながっていきます。
お札・お守りの扱い方と返し方
厄払いに行くと、お札やお守りを授与されることが多くなります。家に持ち帰ったあとの扱い方に迷う人もいるので、基本的なポイントだけ押さえておきましょう。お札は、家の中で静かで清潔な場所に安置します。一般的には、家族が集まるリビングや和室の高い位置に、小さな棚や台を用意して立てておくことが多いです。向きは南か東がいいと言われることが多いですが、間取り的に難しい場合は、家族の目に入りやすい方向を優先しても問題ありません。お守りは、普段持ち歩くカバンや財布、定期入れなどに入れておきます。汚れが目立ってきたら、やわらかい布でそっと拭いてあげる程度で十分です。授かったお札やお守りは、1年を目安に、あるいは引っ越しなどの節目に、いただいた寺社か、近くの神社・お寺の納札所に返納します。田ノ口薬師のように、郵送での返納に対応している寺もありますが、受付方法や期間、必要な送料などは変わることがあるため、送る前に必ず公式サイトで最新の案内を確認してください。
香川の季節行事とお礼参りのタイミング
一年間、大きな事故や病気もなく過ごせたと感じたときは、「お礼参り」をしてみるのも良い流れです。お礼参りには厳密なルールはなく、厄払いを受けた寺社にもう一度足を運び、「無事に過ごせました。ありがとうございました」と伝えるだけで十分です。タイミングとしては、厄払いからちょうど一年後や、次の年の同じ行事の時期などが選ばれることが多いですが、自分の都合の良い日を選んでかまいません。香川県には、初詣や節分の行事、春のお花見、夏祭り、秋の収穫祭など、季節ごとの行事がたくさんあります。與田寺や郷照寺、田ノ口薬師などの寺院でも、年間を通してさまざまな法要や行事が行われています。
行事の日は人が多くにぎやかですが、平日の午前中など人の少ない時間帯を選べば、ゆったりと手を合わせることができます。お礼参りのあと、季節の食べ物を味わったり、海や山の風景を眺めたりする時間を持つと、「この一年もよく頑張ったな」と自分をねぎらうことができ、次の一年に向かう元気もわいてきます。
離れて暮らす家族・友人のためにできる小さな祈り
自分は香川に住んでいても、親やきょうだい、親しい友人が県外で暮らしていることも多い時代です。そうした人たちの体調や生活が気になるとき、厄払いを通じてできることもあります。多くの寺社では、「家内安全」「身体健全」など、家族や身近な人全体の健康を願う祈祷を行っています。申込用紙に、自分だけでなく家族の名前も一緒に書き込むことで、「みんなの分もまとめてお願いする」ことができます。田ノ口薬師の郵送祈願など、申込書に複数人の名前を書けるスタイルの寺もあります。
祈祷や厄払いを受けたあと、その寺社のお守りを離れて暮らす家族や友人に送るときは、「香川の◯◯で、あなたの健康も祈ってきました」と手書きのメッセージを一言添えてみましょう。実際に現地まで来られない人にとって、その一言は大きな安心につながります。もちろん、寺社の側から見れば、お守りそのものに特別な力があるというより、「相手を思う気持ち」が何より大切なのかもしれません。メールやSNSだけでなく、たまには短い手紙を書いてみる。そんな小さな行動が、離れて暮らす人との心の距離を近づけ、結果として自分自身の心も温かくしてくれます。
まとめ
香川県で厄払いを考えるとき、まず意識したいのは、「どこの寺社が一番ご利益があるか」という競争ではなく、「自分や家族の節目にどう向き合うか」という視点です。高松エリアには田村神社や石清尾八幡宮があり、東かがわ市には與田寺・田ノ口薬師・白鳥神社、宇多津には郷照寺、国分寺には國分八幡宮、西讃には善通寺と、歴史や雰囲気の異なる多くの選択肢があります。
一方で、厄年の年齢や祈祷のスタイル、受付時間、金額などは寺社ごとに少しずつ違います。この記事で紹介している情報は、2025年11月時点の公式情報や公的なサイトをもとにしたものですが、将来的に変わることも十分考えられます。実際に参拝や申込みをする前には、必ず各寺社の公式サイトや電話で最新の情報を確認してください。厄払いは、「怖い年だから特別な儀式をしなければ」というものではなく、「健康診断を受ける」「生活リズムを整える」「家族や友人への感謝を見つめなおす」といった現実的な行動とセットにすることで、本当の意味で役に立つ行事になります。瀬戸内の穏やかな海や山の景色、おいしいうどんや地元の食べ物を楽しみながら、自分に合ったペースで厄払いと向き合ってみてください。厄年は、怖がるための年ではなく、「自分をいたわる年」として使っていくことができます。


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