多賀大社ってどんな神社？「何の神様か」と基本のご利益を整理
「多賀大社ってどんな神社？」「何の神様がまつられていて、どんなご利益があるの？」──そんな疑問を持って検索している人も多いはずです。滋賀県多賀町の多賀大社は、伊邪那岐大神・伊邪那美大神という“いのちの親神”をまつる社で、延命長寿・縁結び・厄除けなど、人生の節目に寄り添う神社として古くから信仰を集めてきました。
この記事では、公式情報や伝承にもとづいて「何の神様か」「どんなご利益が語られてきたのか」をやさしく整理しつつ、お守りの選び方や寿命石・お多賀杓子といった象徴的なスポット、スピリチュアルなパワースポットとしての向き合い方を、中学生でも分かる言葉でまとめました。また、参拝前後にできる簡単なセルフチェックや振り返りノートなど、日常で多賀大社のメッセージを活かす具体的なアイデアも紹介しています。「命」と「ご縁」について、少し立ち止まって考えてみたいときの、静かな案内役として読んでもらえたら幸いです。
「お多賀さん」と呼ばれる理由と場所・基本情報
多賀大社は、滋賀県犬上郡多賀町にある神社で、地元では昔から「お多賀さん」と親しみをこめて呼ばれています。公式サイトでも「古くから『お多賀さん』の名で親しまれる滋賀県第一の大社」と紹介されていて、県内外からたくさんの人が足を運ぶ、近江を代表する社です。住所は「滋賀県犬上郡多賀町多賀604」。最寄り駅は近江鉄道の多賀大社前駅で、駅から歩いて約10分ほどの距離にあります。車なら名神高速・彦根インターからおよそ10分と、電車・車どちらでもアクセスしやすい立地です。
境内には大きな鳥居や拝殿、太閤橋、寿命石など、歴史を感じるスポットがぎゅっとまとまっていて、参道には名物の糸切餅の老舗や食事処も並びます。観光地として整いすぎていない、少し素朴な空気が残っているのも、多賀大社ならではの魅力です。神様の世界にきちんとした決まりごとがある一方で、「ふらっと寄っても受け止めてくれる懐の深さ」のようなものを感じる人も多いようです。
このあとくわしく見ていきますが、多賀大社は日本の「いのちの物語」の中心にいる神様をおまつりしているため、単にお願いごとを叶える場所というより、人生全体を見直したいときに立ち寄りたくなる、そんな性格を持った神社だと言えます。
伊邪那岐大神・伊邪那美大神はどんな神様？
多賀大社のご祭神は、伊邪那岐大神（いざなぎのおおかみ）と伊邪那美大神（いざなみのおおかみ）の二柱です。古事記や日本書紀では、この二人の神様が天から降りて海をかき回し、日本列島の島々やたくさんの神々を生み出したと語られています。また、太陽の神として知られる天照大神も、この二柱から生まれた子どもです。つまり、多賀大社は「日本の国とたくさんの神様の“親”」をまつっている場所と言えます。
伊邪那岐大神は、世界を作り出す力や、汚れを祓って整える力を象徴する存在として語られます。黄泉の国から帰ったあと、川で身を清める禊（みそぎ）を行い、そのときに新しい神々が生まれたという話が有名です。一方、伊邪那美大神は、いのちを産み、育てる力を象徴する女神で、出産や家庭のイメージと深く結びついています。神話の中では、楽しい結婚生活だけでなく、出産の苦しみや死別、すれ違いなど、人間にも通じるドラマが描かれています。
ここで大切なのは、これらは歴史上の記録というより「日本人が長いあいだ大事にしてきた物語」だということです。科学的・歴史的な事実ではなく、信仰の世界の話として、心のよりどころや生き方を考えるヒントとして受け止めると、ちょうどいい距離感になります。
「命の親神」としてのストーリーと延命長寿のご利益
多賀大社が「いのちの神様」「延命長寿の神様」と呼ばれる背景には、二つの柱があります。ひとつは、今見たように、日本の国土や神々を生み出した「生命の親神」をまつっているという点です。もうひとつは、寿命石（じゅみょういし）やお多賀杓子（おたがじゃくし）に伝わる、「寿命が延びた」「病が癒えた」という昔話です。重源上人が東大寺再建を任されたとき、年齢のわりに大仕事であったため多賀大社で祈願し、寿命石のご利益で二十年の寿命を授かった、という伝承はとても有名です。
もちろん、寿命石に触れたからといって誰でも病気が治る、という意味ではありません。ここで語られているのは、あくまで信仰や伝承の世界の話です。ただ、この物語を知ったうえで寿命石の前に立つと、「今まで生かされてきた時間」「これからどう生きたいか」ということを自然と考えさせられます。延命長寿というご利益は、「とにかく長く生きる」だけではなく、「残された時間を自分らしく使う助けをもらう」と受け取ると、現代の感覚にもなじみやすくなります。
縁結び・家族・人間関係のご利益をどう受け止める？
伊邪那岐大神・伊邪那美大神は、神話のなかで「最初の夫婦」として登場します。そのため、多賀大社では夫婦円満や良縁、家内安全など、人と人とのつながりに関する祈りが多く捧げられています。縁結びと聞くと恋愛だけをイメージしがちですが、多賀大社の場合は、家族や友人、職場など、広い意味でのご縁全体を整えてくれる存在と考えると分かりやすいです。
実際にお参りするときは、「理想の相手をすぐに出してください」というお願いだけにしてしまうと、現実とのギャップに苦しむことがあります。むしろ、神様の前では自分の気持ちを整理するつもりで、「どんな関係だと心が落ち着くのか」「どこまでなら自分を守れるのか」といったポイントを見つめ直す時間にしてみてください。例えば「相手に合わせすぎない自分になりたい」「本音を上手に伝えられるようになりたい」など、少し具体的に言葉にしてみるのがおすすめです。
こうした向き合い方は、恋愛だけでなく家族との関係にも役立ちます。親との距離感に悩んでいる人や、子どもの将来に不安を感じている人にとっても、「完璧な家族にしてください」ではなく、「お互いに無理なく歩み寄れる形を探せるように」と願うほうが、心が少し軽くなるはずです。
厄除け・リセットの神様として多賀大社に願いたいこと
伊邪那岐大神には、黄泉の国から戻ったあとに川で身を清める「禊（みそぎ）」を行い、その過程で新しい神々が生まれたというエピソードがあります。この物語は、古くから「汚れを洗い流し、新しくやり直す力」の象徴と考えられてきました。そのため、多賀大社もまた、厄除けや災難除けはもちろん、「人生をリセットしたいとき」に参拝する場所として選ばれています。
たとえば、仕事や人間関係でつらい出来事が続いているとき、「悪い流れを全部消してください」と祈りたくなるかもしれません。でも、現実には消しゴムのように過去をなかったことにはできません。そこで多賀大社では、「今の出来事から何を学べるか」「これからの生き方をどう変えたいか」を考えるきっかけをもらうイメージで手を合わせるとよいでしょう。
具体的には、「ここ一年で自分を追い詰めている習慣を一つ手放す」「怖くて後回しにしていた行動を一つだけやってみる」など、小さな宣言をしてみるのがおすすめです。厄除けのお札やお守りは、その宣言を日常で思い出させてくれる“しるし”として持つと、スピリチュアルな話と現実の行動がしっかりつながってきます。
悩み別に見る多賀大社のご利益：こんなときに頼ってみよう
健康・長寿を願うときに意識したいポイント
健康や長寿を願って多賀大社を訪れる人は、とても多いです。高齢の家族のことを思って来る人もいれば、自分自身の病気やメンタルの不調に悩んでいる人もいます。寿命石や延命長寿のご利益の話は、とても心強く感じられる一方で、「ここに行けば病院はいらない」と考えてしまうと、とても危険です。治療や薬は医師の判断が必要であり、神社参拝はそれを補う心の支えとして位置づけたほうが安全です。
多賀大社で健康を祈るときは、「病気をゼロにしてください」とだけお願いするより、「これからの時間をどう使いたいか」を一緒に考えてみてください。例えば、「家族と過ごす時間をもっと大事にしたい」「体の負担が少ない働き方に切り替えたい」「趣味や旅行を楽しめる体力を取り戻したい」など、自分が望む暮らし方を具体的にイメージしてみます。そのうえで、「その方向に一歩動くための勇気を貸してください」と祈ると、ご利益の受け取り方がぐっと現実的になります。
参拝から帰ったら、健康診断の結果を見直したり、医師と相談して無理のない運動や生活改善を決めたりして、日常の行動に落とし込むとよいでしょう。多賀大社で感じたことをきっかけに、小さな習慣を一つ変えるだけでも、長い目で見れば大きな差になっていきます。
恋愛・結婚・パートナーシップで迷ったとき
恋愛や結婚のことで心が揺れているとき、多賀大社を選ぶ人も少なくありません。夫婦の神様をまつる神社ということもあり、「良縁」「復縁」「夫婦円満」などの願いを込めたお参りが多いのは自然なことです。ただ、ここでも「相手を思い通りに動かしてほしい」というお願いの仕方は、あまりおすすめできません。神話の中の伊邪那岐・伊邪那美も、いつも仲良しだったわけではなく、葛藤や別れを経験しています。
そこで大切になるのが、「相手」ではなく「関係性」に目を向けることです。「お互いが少しラクになれる距離感になれますように」「本音を伝え合える関係を育てていけますように」など、二人の間に流れる空気に注目して願ってみましょう。また、「自分は恋愛でどんなパターンを繰り返しがちか」「不安なときにどんな行動を取りやすいか」といった、自分のクセを振り返るのも大切です。
どうしてもつらい別れやモラハラなどの問題を抱えている場合は、カウンセラーや相談窓口を頼ることも必要です。多賀大社での祈りは、その一歩を踏み出す勇気をくれるもの、と受け止めると、自分を守りながらご縁と向き合いやすくなります。
仕事・お金・キャリアの不安を抱えているとき
多賀大社は、商売繁盛の神社として有名なわけではありませんが、人生全体の方向性を考えたいときには、とても向いている場所です。仕事やお金の悩みは、単に給料の多い少ないだけではなく、「この働き方で本当にいいのか」「家族との時間とのバランスはどうするのか」といった、暮らし方全体の問題とつながっています。いのちの親神を前にすると、どうしても「自分は何のために働いているのか」という根本的な問いが浮かび上がってきます。
参拝前に、紙かスマホに「今の仕事で続けたいこと」と「できれば減らしたいこと」をそれぞれ三つずつ書いてみましょう。お金の不安についても、「老後が心配」「借金が不安」「収入が安定しない」など、具体的な内容を整理しておきます。神前では、それらを心の中で読み上げるようにしながら、「今日から一つだけ、変えられる行動のヒントをください」と静かに願うと、帰り道や後日のふとした瞬間に、やるべきことが見えてくることがあります。
もちろん、それは「神様が指示を出している」というより、落ち着いた場所で自分の本音と向き合った結果、頭の中が整理されるから起こる変化です。そうした心の動きを、ありがたいひらめきとして受け取りつつ、現実的なライフプランや専門家への相談も組み合わせていくと、仕事やお金の不安は少しずつ形を変えていきます。
家族の介護や心配ごとで疲れた心を整えたいとき
親の介護、子どもの進路や発達の心配、パートナーのメンタル不調など、「家族に関する悩み」はとても重く、誰にも打ち明けられずに一人で抱え込んでしまうことが多いテーマです。多賀大社は、夫婦の神様であると同時に、親子や家族の象徴でもあります。だからこそ、「解決策をください」と力む前に、「もう正直しんどいです」と弱音をこぼしてもいい場所だと考えてみてください。
参拝のときは、まず「今いちばんつらいこと」を心の中でそのまま言葉にしてみましょう。泣きたくなったら、そのまま涙が出てもかまいません。そのうえで、「自分一人で抱え込まなくていいこと」「周りに頼ってもいいこと」がないかを、少しだけ探してみます。「ケアマネージャーに相談してみる」「兄弟に一日だけ手伝ってもらう」「行政の窓口を調べる」など、できそうな一歩を紙に書いておくと、現実の動きに繋げやすくなります。
信仰の力だけで介護や病気が解決するわけではありませんが、「ここまでよくがんばってきたね」と自分をねぎらってくれる場所があるだけで、心の負担は少し軽くなります。多賀大社を、家族の問題を考え直す“心の避難所”として使うイメージを持つと、リピートしやすくなるはずです。
人生をもう一度やり直したいときの多賀大社参り
離婚や転職、倒産、病気、家族との別れなど、大きな出来事が続いたあと、「ここからどう生きていけばいいのか分からない」と感じることがあります。そんなとき、多賀大社の「国生み・神生み」の物語は、「何度つまずいても世界は続いていく」というメッセージを静かに伝えてくれます。伊邪那岐・伊邪那美も、決して完璧な存在ではなく、失敗や後悔を抱えながら、それでも新しい命を生み出していった神様です。
人生をやり直したいときの参拝でおすすめなのは、紙を二つに折り、左側に「もう手放したい出来事や習慣」、右側に「これから大切にしたいこと」を書き出す方法です。神前では、左側の内容を心の中でゆっくり読み上げ、「この経験を学びに変えて、次の章に進みます」とそっと宣言します。それから、右側の「大事にしたいこと」を意識しながら手を合わせると、気持ちの向きが少し前を向きやすくなります。
もちろん、人生のやり直しには時間がかかりますし、すぐに結果が出るわけではありません。それでも、こうした区切りの儀式を多賀大社という特別な場所で行うことで、「あの日から少しずつ変わり始めた」と後から振り返れる基準点ができます。それ自体が、大きな支えになるはずです。
多賀大社のお守り・授与品ガイド：自分に合う一つの選び方
延命・健康系のお守りと「どう生きたいか」の考え方
多賀大社といえば、やはり延命長寿や健康のお守りが印象的です。健康守りや長寿守り、寿命石にちなむ授与品などが用意されており、年配の方だけでなく、若い世代も両親や祖父母のために受ける姿がよく見られます。ここで意識しておきたいのは、お守りが「病気を遠ざける魔法のアイテム」ではなく、「自分や家族を大切にしようという決意を形にしたもの」だということです。
お守りを選ぶ前に、「健康になったら何をしたいか」「どんな状態で年齢を重ねたいか」を少し考えてみましょう。例えば、「子どもや孫と旅行に行ける体力を残したい」「自分の足で好きな場所に行ける時間を長く保ちたい」「仕事をセーブして、自分のペースで暮らしたい」など、人によって大切なポイントは違います。そのイメージを持ちながらお守りを手に取ると、ただの“縁起物”ではなく、自分の未来へのメッセージとして感じられてきます。
家に帰ったら、健康診断の結果や生活習慣を見直しつつ、「これから一年で変えてみたいこと」を一つ決めてみてください。早寝を意識する、少しだけ歩く距離を増やす、ストレスをためこまない工夫をするなど、小さなことで十分です。お守りは、その約束を毎日思い出させてくれる“タグ”のような役割を果たしてくれるでしょう。
縁結び・人間関係のお守りで叶えたい“小さな変化”
多賀大社には、縁結びや夫婦円満、人間関係に関するお守りも授与されています。恋愛運アップを期待して受ける人も多いですが、ここでも「すべてを神頼みにする」姿勢はおすすめできません。縁結びのお守りは、「自分を大切にしながら良い縁を選ぶ力」を応援してくれるものと考えると、バランスが取りやすくなります。
例えば、お守りを受け取ったタイミングで、「自分を雑に扱う人とは距離を置く」「不安から相手を束縛しすぎない」「一人の時間も楽しめるようにする」といった、自分との約束を一つ決めてみましょう。また、新しい出会いの場に一歩踏み出したり、趣味のコミュニティに参加したりするなど、自分から動いてみることも大切です。
人間関係のお守りは、恋人だけでなく友人や職場との関係にも使えます。「挨拶を少し丁寧にする」「感謝の言葉を増やす」「苦手な人とは無理に近づかず、必要以上に自分を責めない」といった、小さな行動を支えてくれるアイテムとして持ち歩くと、心がだいぶ軽くなります。
厄除け・災難除けのお守りと上手な「距離の取り方」
厄除けや災難除けのお守りは、日本中の多くの神社で授与されていますが、多賀大社でも人気の授与品のひとつです。一般に「厄年」と呼ばれる年齢は、昔の統計や経験則にもとづいて「体調を崩しやすい」「環境の変化が起こりやすい」とされた時期であり、科学的な法則ではありません。それでも、節目として自分の生活を整えるきっかけにするには、とても分かりやすい目安です。
厄除けのお守りを持つときは、「何もかも神様任せにする」のではなく、「自分でもリスクを減らす努力をする」ことを意識してみましょう。無理な残業を続けない、睡眠時間を削りすぎない、危険な運転や飲みすぎを控えるなど、思い当たることは誰にでもあるはずです。お守りを見るたびに、「今日は自分を雑に扱っていないかな？」と自分に問いかける習慣がつけば、それ自体が強力な厄除けになってくれます。
また、心配ごとが増えて不安が止まらないときは、信頼できる人に話を聞いてもらったり、専門機関に相談したりすることも大切です。お守りは、そうした「助けを求める勇気」を支えてくれる役割も持っています。
「お多賀杓子」「寿命石」など象徴的な授与品の意味
多賀大社には、普通のお守り以外にも、特徴的な授与品やスポットがあります。その代表が「お多賀杓子」と「寿命石」です。お多賀杓子は、元正天皇が病気になったとき、多賀大社に祈願し、神前に杓子と強飯をささげたところ平癒した、という伝承に由来するとされています。それ以来、「飯をすくう」ことから「福をすくう」「災いをすくい取る」といった意味合いで親しまれ、しゃもじ型の授与品や絵馬が今も人気です。
寿命石は、俊乗坊重源が東大寺大仏殿の再建事業を前に、多賀大社に参拝して寿命を授かったという伝承が残る石です。石の周りには、願いを書いた白石がたくさん並べられており、一つひとつに家族や自分の健康への祈りが込められています。この場所では、「何歳まで生きたい」といった数字よりも、「どんな時間を誰と過ごしたいか」を思い描きながら手を合わせると、気持ちがより温かくなります。
これらの伝承は、いずれも歴史的な事実として証明されたものではなく、信仰や言い伝えの世界の話です。ただ、人々が長いあいだ大切にしてきた物語であることは確かで、その物語を知ったうえで授与品やスポットに向き合うと、自分の悩みや願いを重ねやすくなります。
お守りを受け取ったあと・返すときのマナーと心がけ
お守りには「一年で必ず返さなければならない」といった厳密な決まりはありませんが、多くの神社では「おおよそ一年を目安に感謝とともにお返しください」と案内しています。多賀大社でも、古いお守りやお札を納める場所があり、初詣や節分などの節目の参拝とあわせて返す人が多いです。
返すときのポイントは、とてもシンプルです。まず、ゴミとして捨てず、神社の古神札納所や返納箱に納めること。そして、納める前に心の中で「一年間、見守ってくれてありがとうございました」と一言そえることです。同じ神社に行けない場合は、近所の神社に「他の神社のお守りをお返ししたいのですが」と相談すると、対応してくれることがほとんどです。
新しいお守りを受けるときは、「前のお守りがあったから、ここまで来られた」という感謝を忘れないようにしたいものです。その積み重ねが、自分の中に「見えない支えがある」という感覚を育ててくれます。
スピリチュアルが気になる人へ：パワースポットとしての多賀大社
パワースポットって何？多賀大社で感じやすいこと
近年、「パワースポット」という言葉はすっかり身近になりましたが、実ははっきりとした科学的な定義があるわけではありません。一般的には、「昔から信仰を集めてきた場所」「自然や歴史の雰囲気の中で心が元気になると感じる場所」などを、まとめてそう呼んでいることが多いようです。多賀大社も、いのちの親神をまつる社として、そうした場所の一つに数えられます。
大事なのは、「パワースポットだから何をしても全部うまくいく」という考え方をしないことです。多賀大社に行ったからといって、宝くじが当たったり、すべての問題が一晩で解決したりするわけではありません。むしろ、境内の静けさや歴史を感じる空気に触れることで、自分の心と体の声に耳を傾けやすくなる、という意味での“パワー”だと考えるとよいでしょう。
参拝するときは、スマホを一度ポケットやカバンにしまい、深呼吸をしてから歩き始めてみてください。鳥居をくぐるときに「今から少し、自分と向き合う時間に入ります」と心の中で宣言するだけでも、境内で感じることが変わってきます。
三本杉や寿命石など、静かにエネルギーを感じたい場所
多賀大社の周辺には、「何となく特別な空気を感じる」と言われる場所がいくつかあります。その代表が、先ほど触れた寿命石と、少し離れた杉坂峠にある三本杉です。どちらも、長い時間をかけて人々の祈りや物語が重なってきた場所であり、スピリチュアルな視点から「エネルギーが強い」と語られることもあります。
寿命石は境内にあるので、多くの人が訪れやすいスポットです。石の前では、無理に特別な感覚を求める必要はありません。足元の感覚や空気の温度、周りの音などに意識を向けて、「今ここに立っている自分」を感じてみてください。もし心が少し落ち着いてきたら、その変化こそがこの場所から受け取った“メッセージ”だと思ってよいでしょう。
一方、杉坂峠の三本杉は、多賀大社から東へおよそ6キロほど離れた峠に立つ御神木で、伊邪那岐大神が天から降りたときに使った杉の箸が根付いて大木になった、という伝承が伝わっています。山道を歩く必要があり、片道1時間前後はかかるコースなので、訪れる場合は歩きやすい靴や飲み物、簡単な雨具など、ハイキング程度の準備をしておくと安心です。無理をして向かう必要はありませんが、写真や地図を眺めてその存在に思いを寄せるだけでも、「長い時間を生きてきた木」というスケールを感じることができます。
太閤橋・奥書院庭園にまつわる歴史とスピリチュアルなイメージ
境内でひときわ目を引くのが、石造りの反り橋である太閤橋です。豊臣秀吉が母・大政所の病気平癒を祈願し、米一万石を奉納した際に整えられたと伝わる橋で、「太閤」の名もそこから来ています。この橋は、ふだん一般の参拝者が渡ることはできませんが、祭礼のときに神輿が渡る特別な道として使われます。日常と神様の世界を分ける境界線のような役割を果たしているとも言われます。
スピリチュアルな視点で見ると、橋は「こちら側」と「あちら側」をつなぐシンボルです。人生の転機や心境の変化を考えたいとき、太閤橋を眺めながら、「自分はいま、どんな橋を渡ろうとしているのか」と静かに自問してみると、意外な気づきが生まれるかもしれません。
奥書院庭園は、書院から眺めることを前提に作られた庭園で、池と石、木々のバランスがとても美しく、国の名勝にも指定されています。春の新緑や秋の紅葉の時期には、時間がゆっくり流れているような感覚になる人も多いようです。ここでは、何かを強く願うよりも、「今までよくがんばってきた自分を労う場所」として、ただ景色を味わう時間を持つのがおすすめです。
「呼ばれた気がする」「サインかも」と感じたときの考え方
インターネットや口コミを見ていると、「最近なぜか多賀大社の名前をよく見る」「夢で何度も同じ神社が出てきた」など、「呼ばれた気がする」という体験談が紹介されることがあります。こうした感覚をどう受け止めるかは、人それぞれです。ただ、あまりに特別視してしまうと、「呼ばれたのだから、全部うまくいくはず」と期待しすぎたり、現実の生活をおろそかにしてしまったりする危険もあります。
現実的で安心な考え方としては、「それだけ自分の心が休みたがっている」「見て見ぬふりをしてきたテーマが浮かび上がってきている」という、自分の内側からのメッセージとしてとらえることです。「呼ばれている気がする」と感じたら、まずは手帳にメモをし、行けるタイミングや予算を冷静に計算してみましょう。それでも行きたい気持ちが残っているなら、計画を立てて実際に足を運べばよいのです。
大切なのは、「サインがあったから何も考えなくていい」という姿勢ではなく、「サインをきっかけに、自分の暮らしを整え直す」姿勢を保つことです。そのバランスが取れていれば、スピリチュアルな体験は人生のアクセントとして、とても豊かなものになります。
敏感体質の人でも安心できる参拝のコツとセルフケア
人混みや音、光、他人の感情などに敏感な人にとって、人気の神社は少し疲れやすい場所でもあります。いわゆるHSP気質の人が多賀大社を訪れるときは、ちょっとした工夫をしておくと、ずっとラクになります。
まず、可能なら平日や朝の早い時間帯を選びましょう。人が少ない時間だと、参道や境内の静けさをじっくり味わえます。次に、滞在時間をあらかじめ決めておき、「長くても二時間まで」と目安を作っておくと、自分のペースを守りやすいです。境内のどこかに、自分なりの「休める場所」を見つけておくのも良い方法です。人の少ないベンチや、木陰のスペースなど、落ち着けるポイントを先に確認しておきましょう。
参拝中は、のどが渇く前に水分をとり、疲れたと感じたら無理をせずに腰を下ろしてください。イヤホンで静かな音楽を流して、周囲の音を少し減らすのも一つの手です。帰りの予定も詰め込みすぎず、できればその日はゆっくり休めるようにしておくと、心と体の負担がぐっと軽くなります。スピリチュアルな体験よりも、自分の健康と安全を最優先にすることが、結果的にいちばんよい思い出につながります。
日常で活かす多賀大社：参拝前後の準備とセルフワーク
行く前にやっておきたい「願いごとメモ」と簡単セルフチェック
多賀大社に行くことを決めたら、出発前に少しだけ準備をしておくと、現地での時間がぐっと濃くなります。その一つが「願いごとメモ」です。ノートやスマホに、次の三つを書き出してみましょう。
一つ目は、「いま一番気になっていること」。健康、家族、恋愛、仕事、お金など、テーマは何でもかまいません。二つ目は、「いま感謝していること」。支えてくれている人や、暮らしの中の小さな喜びを書いてみてください。三つ目は、「一年後、どんな自分でいたいか」。細かく書けなくても、「もう少し落ち着いて暮らしていたい」「大切な人たちと笑っていたい」など、ざっくりしたイメージだけでも十分です。
こうして整理しておくと、神前で急に「何をお願いしよう」と焦ることがなくなります。多賀大社は、願いを“注文する場所”というより、自分の本音と向き合うための「静かな相談室」のような空間です。願いごとメモは、その相談内容を事前にまとめるためのメモ帳だと思って使ってみてください。
当日の過ごし方モデル：参拝ルートと門前町の楽しみ方
初めて多賀大社に行く場合、「どんな順番で回ればいいか分からない」と不安になるかもしれません。ここでは、半日ほどの滞在をイメージした、ゆったりめの過ごし方の一例を紹介します。実際の所要時間は季節や混雑状況によって変わるので、あくまで目安として見てください。
朝、近江鉄道の多賀大社前駅で降りたら、まずは参道を歩いて境内へ向かいます。お店が開き始める時間帯なら、門前の雰囲気も楽しめます。鳥居をくぐる前に、深呼吸をして軽く一礼し、手水舎で手と口を清めてから拝殿へ進みます。拝殿では、願いごとメモを思い出しながら、今いちばん伝えたいことを落ち着いて神様に話しかけてみましょう。
そのあと授与所でお守りやお札を受け、寿命石へ向かいます。寿命石の前では、家族や自分の健康をイメージしながら静かに手を合わせてみてください。時間に余裕があれば、太閤橋や庭園の景色もゆっくり眺めて、心をクールダウンしてから境内をあとにします。参拝を終えたら、門前で糸切餅を味わったり、昼食をとったりして、滋賀の土地の恵みも一緒にいただきましょう。
ポイントは、スケジュールを詰め込みすぎないことです。「お願いしたらすぐ次の場所へ」ではなく、「お願いしたあと余韻を味わう時間」を少し入れておくと、心が落ち着き、参拝の満足感も高まります。
参拝後1週間の振り返りノートでご利益を“育てる”
多賀大社から帰ったあとは、できれば一週間だけ「振り返りノート」を続けてみましょう。これは、ご利益があったかどうかを採点するためのものではなく、自分の中の小さな変化に気づくための道具です。ノートでもスマホでもかまいません。
最初のページに、参拝した日付と、その日に感じたことをざっくり書きます。「寿命石の前で涙が出た」「太閤橋を見て、これから頑張ろうと思えた」など、短いメモで十分です。そのあと一週間は、毎晩寝る前に次の三つを一行ずつ書いてみてください。「今日、少し楽になったこと」「今日、自分をほめたい行動」「今日、やめたいと感じた習慣」。どれも思いつかなければ「なし」と書いても大丈夫です。
一週間たって読み返すと、「意外と毎日何かしら頑張っていた」「同じことで悩んでいる日が多い」など、自分の心のクセが見えてきます。その気づきこそが、多賀大社で受け取った“宿題”のようなものです。そこから、カウンセリングや転職活動、生活習慣の改善など、必要な次の一歩につなげていきましょう。
遠方の人向け：多賀大社を思いながらできるおうち時間の工夫
滋賀は遠くて簡単には行けない、という人もたくさんいると思います。その場合でも、多賀大社のことを思いながら自宅でできることは十分あります。まず、公式サイトや写真集などで多賀大社の風景を眺め、心の中で「今から少しだけ、多賀大社を思い浮かべる時間にします」と宣言してみてください。
静かな音楽を流し、背筋を伸ばして軽く目を閉じます。そして、実際に現地にいるつもりで、鳥居をくぐり、拝殿の前に立っている自分をイメージします。そこで、願いごとメモに書いた内容を心の中でゆっくり読み上げ、「この気持ちを覚えておけるよう見守ってください」と伝えてみましょう。これは、いわゆる遠隔参拝というより、自分の本音と向き合うためのイメージトレーニングに近いものです。
余裕があれば、近所の神社にお参りして、「いつか多賀大社にもご挨拶に行けますように」と一言添えるのもよいでしょう。実際に行ける日が来たとき、「あの頃の自分はこんなことを考えていたんだな」と振り返ることで、人生の歩みが一つの物語のようにつながっていきます。
定期的に「多賀タイム」を持つメリットと続け方
一度多賀大社を訪れたら、その後も定期的に「多賀大社を思い出す時間＝多賀タイム」を持ってみると、心の軸が少しずつ整っていきます。多賀タイムといっても難しいことはなく、月に一度、手帳やノートを開いて「今月の体調」「今月の人間関係」「今月感謝したいこと」を簡単に書き出すだけでかまいません。
季節ごとに、自分の写真フォルダにある多賀大社の画像を眺めながら、一年前や数年前の自分と今の自分を比べてみるのもおすすめです。「あのときより少し表情が柔らかくなった」「仕事や家族との付き合い方が変わった」といった変化に気づけたら、その流れを大切にしていきましょう。もし逆につらくなっている部分に気づいたら、それは「そろそろ立て直そう」というサインかもしれません。
多賀タイムを完璧に続ける必要はありません。数か月に一度でも、思い出したときだけでも大丈夫です。大切なのは、「自分のいのちをどう使いたいか」を定期的に思い出すきっかけがあること。多賀大社という存在を、そのためのアンカーとして使っていくと、人生の大きな波にも飲み込まれにくくなります。
まとめ
多賀大社は、伊邪那岐大神・伊邪那美大神という「いのちの親神」をまつる、滋賀県多賀町の古社です。延命長寿・縁結び・厄除けといった分かりやすいご利益だけでなく、人生をどう生きるか、家族やパートナーとどう向き合うかといった、大きなテーマを考えたいときに寄り添ってくれる場所でもあります。寿命石やお多賀杓子、太閤橋、奥書院庭園、杉坂峠の三本杉など、物語や伝承と結びついたスポットも数多く、歴史とスピリチュアルの両方の側面から楽しめる神社です。
ただし、これらの伝承やご利益は、医学的・科学的な効果を直接保証するものではありません。病気の治療やお金の問題、家族のトラブルには、専門家の力や現実的な行動が欠かせません。多賀大社は、そのうえで「自分の本音と向き合う勇気」「必要な一歩を踏み出す覚悟」をそっと支えてくれる場所、と考えるとちょうどよい距離感になります。
参拝前の願いごとメモ、当日のゆったりした過ごし方、帰宅後1週間の振り返りノート、そして遠方からでもできるおうち時間。この四つをセットで意識すれば、パワースポットとしての多賀大社の力を、日常の中で少しずつ“育てていく”ことができるはずです。「多賀大社は何の神様？」と気になってこの記事にたどり着いた人が、いのちとご縁を見つめ直すきっかけを持てたなら、とても嬉しく思います。
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